レポート・とがび2006/圓井義典「カメラ星人調査隊第3次現地調査〜天狗とカメラ成人の隠された謎」

横浜在住の圓井義典さんは、「とがび」には第1回目から参加、一貫して「カメラ」をテーマにキッズ学芸員とともに取り組んでいます。
1回目の2004年はテレフォン・ボックス・プロジェクトと称して、人が入れる電話ボックスサイズのピンホールカメラを制作、2回目の昨年はカメラ星人調査隊第2次現地調査と称してプラスチックの鉢にレンズとスクリーンを仕込み、キッズ学芸員とともに「カメラ」を制作、中学校内のきれいなものが写る場所に設置しました。
電源も特別な装置もないところで、こんなにはっきりとものが美しい色とともに写しだされることは、鑑賞者にとって大きな驚きでした。
そして今回、圓井さんが展示場所に選んだのが理科室。鑑賞者は入口でビーカーや試験管をわたされ、暗い部屋へと入ります。ビーカーや試験管には白い紙が一枚入っていて、それを窓際の暗幕に開いた穴から入る光にかざすように指示されます。かざすとその紙がスクリーンとなって、外の風景が鮮やかにビーカーや試験管の中に切り取られます。
東京工芸大学で写真に取り組む圓井さんですが、写真そのものでなく、それを作り出すカメラという装置にスポットをあてた「とがび」での取り組みは、「見る」「見える」ということについての興味を大きくかりたてるものだったと思います。
特に今年は大学に「とがび」参加のための研究費を申請、大学側もこれをこころよく受け入れ、5人ほどの学生さんが助手として参加していたことは、中学生にとっても、大学生にとっても貴重な学びの場になったのではないかと思います。

(コメント:門脇篤)