中平です。美術教育は、表現を大切にする教科です。しかし、今まで、本当の意味で中学生の表現を大切にしてきたのでしょうか。今日は、そのことについて少し独り言を述べさせていただきます。
例えば、絵画について考えてみます。絵画はどういう要素が表現することには必要なのでしょうか。別の言い方をすると、どういうことができるようになると表現が可能になるのでしょうか。
私自身、小学生や中学生の時は、教師から「デッサン力が表現の基礎だ。」「スケッチが基礎だ」と言われて、それを信じて制作を続けてきました。確かにそういったいわゆる描写力は大きな力になりますし、表現することの一つ基礎であるでしょう。しかし、本当にデッサン力とスケッチ力で「表現する力」は育つのでしょうか。
私は、それだけでは足りないと考えています。そこに「構成力」と「テーマ設定力」が必要であると考えます。今までの美術教育を考えますと、そこに力をあまり入れてこなかったように思います。つまり、思いを形にする方法を教える授業です。その力がもし、義務教育の間に育つとしたら、それは素晴らしいことだと思います。「とがび」もそういった目標に近づくための手立ての一つなのです。
授業時数が削られれていく中で、その力を育てるにはどういった方法が考えられるのか。私は、鑑賞と制作を3年間でスパイラル状に結びつける「Nスパイラル」という考え方を見出しました。しかしまだなお発展途上であります。今後さらに研究していきたいと思います。
写真は、3年生卒業制作で、生徒が作っている週刊誌のような作品。本物の週刊誌のページをシンナーで消し去り、自分で考えた妄想的記事を書き込んでいく作品。