僕はとがびで「美楽」を学んだ。

中平です。先日、とがびを3年間経験した中学3年生の小林君が、このブログに貴重な意見を書き込んでくれました。その内容は、「自分にとって美術とは」「美術授業時数削減について」など生々しいものばかりです。その小林君に、中平が質問してみました。①とがびで何を学んだのか?②とがびにより、考え方が変わった理由は何か?その答えを送ってくれたので、ここに本人の承諾を得て、公開したいと思います。是非お読みください。

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僕は「とがび」で「美楽」(びがく)を学んだと思います。
ブログでもちょこっと書いたんですが、恥ずかしながら、元々は美術にほとんどと言って良い程興味がありませんでした。
小学校の図工の授業でもただ単純に写生するだけでしたし、しかも担任の先生には「ここは、こんな風には見えないんじゃないか?」といって注意された事もあって、あまり美術(図工)に関していい思い出もありませんでした。
でも、中学に来て「とがび」を体験してみると、作家さん方の自由な表現にとても驚き、衝撃を受けました。
それまでは「美術」と言えば、「写実的な絵を描いたりする事」みたいなイメージがあったので、自分の中で「美術」の定義が変わったと思います。
まぁ、それと重なって1年の頃は色々あったので、それをきっかけに哲学的なものにも目覚めました。
そうして、自分で考えたことを自然に美術で表現する様になってきて、遂には「とがび2006」で人に作品を観てもらえる嬉しさや楽しさを知りました。(「暗闇美術館」でもその嬉しさを知る事が出来ました)
自分のつくった作品を「とがび」で不特定多数の方々に見てもらう事によって「表現の大切さ・楽しさ」を
そして、美術を「やらされる」のではなく、自分から[自分をもっと表現をしたい]という「美術を楽しむ気持ち・心」を
この三年間で学ばせていただいたのかなぁと思います。

以上の事を何故学べたかというのは、1つは勿論「とがび」を実現させてくれた中平先生や戸上中のお陰だと思います。
そして、二つ目は「とがびという環境そのものが存在したから」だと思います。
「とがび」に展示する=作品を学校外の様々な人に見てもらう事ができる。と明確にわかっていたので、「見る人」の事を考えながら、更に作品を通して伝えたい事等をしっかり考えて作品を創ることができたんだと思います。
これは僕の勝手な予想ですが、美術をつまらないという人は、「絵が上手くないから」とか「面倒だから」「作らされている感じがあるから」という理由は良くあるのかもしれませんが、一番は「作品を創る意味」が分からないからだと思います。
僕は「世間や様々な人にメッセージを伝えるもの」と、自分が「作品を創る意味」を「とがび」を通じて知る事ができたから、美術が好きになったのかなぁと思っています。

以上、思っていることを上手く表現できたかは分かりませんが、こんな感じです。

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 中平です。結局、美術表現に対し真剣に取り組んでいる大人と出会ったこと、自分の作品を見てくださる多くの方々とであったことが、難しい理屈抜きで、中学生に「アートは面白い」と感じさせたんだということでしょう。われわれ美術教師は、まず「実践をする」という原点を、思い出さなければなりませんね