夜のやねうら美術館レポート〜一度は夢見る・・・

中平です。作品「一度は夢見る・・・」を紹介します。この作品は、ピンクのダンボール製の家の中を覗き込む作品です。作品の近くに来ると、ココナッツのいい香り。家の中にはうっすら灯りがともっており、覗くとぬいぐるみが置いてあります。「かわいい女の子らしい作品だなあ」と感心してしまいます。しかし、この作品は、実はかわいらしさと正反対の恐ろしさの二面性を持っているのです。床に「家の中で手をたたいてください」と描いた紙が置かれており、「パン!」と手をたたくと、家の中の骸骨の人形がリズミカルに歌い始めるのです。驚き、じっくりこの作品のキャプションを読んでみます。解説によると、この作品は、童話のヘンゼルとグレーテルが元になっており、親に捨てられた二人の子どもがお菓子の家にたどり着き、そうこうしている間に家に閉じ込められているのだそうです。よく家の天井付近を見ると、かわいらしいぬいぐるみがぶる下げられています。さっきまで「かわいい」と思っていた作品が、急に怖くなってきました。現代の幼児虐待などを暗に表現している秀逸で、中学生ならではの作品だと思いました。