夜のやねうら美術館レポート〜思い出

中平です。今回の「夜やね」で私個人が一番気に入っている作品「思い出」を紹介します。この作品は、信濃美術館講堂に置かれていて、移動不可能な「とちの木」の中、つまり大木の空洞になった中身の部分に作品を設置しています。なぜこの場所に作品を展示しているのか、その理由は、「あまりに大きくて重いとちの木。移動は不可能。ならば、そこに作品を設置しよう」ということで、生徒に提案したところ、美術部部長のNさんが、快く引き受けてくれました。
 さて、作品のほうですが、ブラックライトを使う作品が多いのですが、この作品は、豆電球を使っています。紙粘土で作った両手をそっと合わせて合掌しているようなオブジェの中に、まるで蛍の光のような暖かい光が漏れています。手毬を思わせる球体からも優しい光が。とちの木のぼこぼこした質感とうまくマッチして、まさに鑑賞者の「思い出」をかきたてる素晴らしい作品です。大きくもなく、強烈なインパクトもない作品ですが、是非、じっくり見ていただきたい作品です。