さくらびレポート233〜卒業制作「夢のまた夢」&「曖昧」

櫻ヶ岡中学校の中平です。3年卒業制作「夢」の作品紹介です。この卒業制作は、3年間の授業の中で育った力をフルに発揮して、全くの自由制作として制作しています。

写真の作品は、数十年前の中学校美術でよく行われたブロンズ粘土による手の模刻です。しかし、よく見ると、手には宝くじが握られています!宝くじに当たること、それが作者の夢です。手の彫刻はとてもよく作られています。しかし、数十年前、このように宝くじを握った作品が授業の中で許されたでしょうか?きっと美術教師は怒ったに違いありません。現代はこれが表現なんだと思います。この宝くじを握らせたいという作者の希望がなければ、手の彫刻をやろうとは思わなかったと思います。中学生の意欲ややる気、本気とは、こういった形でも発揮されるのです。

B4サイズのイラストボードに色鉛筆などで描かれた絵画作品の名前は「曖昧」。

作者によると「今の自分の夢が曖昧なので、曖昧な絵にしました」ということです。下に絵を描き、画用紙で窓を開けて空いた窓から下の絵が、確かに曖昧な雰囲気がします。鑑賞に来た生徒が「これ、最高だね」と言っていました。一つ一つの絵の関係性が、画用紙のせいではっきり分かりません。画面で起こっていることが、はっきりわからないのです。こういった「よくわからないけど、何かが起こっている。起こるような気がする」それが、中学生の正直な心境なのかもしれませんね。