とがびレポート68〜ながのアートプロジェクト2009所見と今後

Nプロジェクト実行委員会代表の中平です。今年も充実したプロジェクトを行ってきた「ながのアートプロジェクト」。今年は吉田小学校、櫻ヶ岡中学校、戸倉上山田中学校の3校で行いました。学校の中で行うアートプロジェクト、キッズ学芸員という仕組みを持つプロジェクトですが、行ってきた感想と今後の方向についてまとめたいと思います。

 さくらびアートプロジェクトでは、校舎が改築されるという絶好のタイミングで行うことができたので、いつもより大胆かつダイナミックに活動しました。美術大学の学生さんに協力していただき、中学生が考える「こんなことが学校でできたらいいなあ、面白いなあ」と考えるアイデアを本当に実現してしまうことができました。写真は、学校の階段を滑り台にしてしまった作品「オウチューランド」。実際にやってみると「すごく大変だった」と生徒が言っている通り、やってみるととても制作は大変でしたが、担当した男子キッズ学芸員の感想には「美術がもっと好きになった」と書かれていました。また、プロジェクトに参加したほとんどの生徒の感想に「美術は気持ちを伝える」と書かれていました。プロジェクト中に、何百人というお客さんと触れ合うことを通して、本当に「何かが伝わった」という実感があったんだと思います。これは、必修授業だけでは不可能だと思いました。そこに、アートプロジェクトの可能性があると思いました。

次は、アートプロジェクトの今後についてです。はっきりいって、プロジェクトはお金が想像以上にかかるので、継続は毎年難しいです。ですが、続けていける形にしていかないと本当の意味での価値ある活動にはなることができません。続けていくためのアイデアの一つは、参加作家それぞれが一つのチームを形成して参加することです。作家それぞれが資金やディレクターを持つ組織として中学生に関わるということです。そのまとめを総ディレクターである中平がまとめるのです。いままでは、中平一人がディレクターでしたが、そのもとにさらに作家をまとめるディレクターがいる。旅費や材料費などはそれぞれ独立した運営を作家がすでに行っているという形。なおかつ、中学生キッズ学芸員というコンセプトは貫いていただく。そういう形を考えています。
幸い、今年のさくらびでは、その試験パターンとして、設計士集団「ボンクラ」や、美容室「さんぼ」の皆さんが、まさにその形で参加してくださり、大きな示唆を与えてくださいました。同様な形で、たとえば作家、大学、企業、一般、地域の方が参加してくださる土壌ができれば、学校を美術館にしようプロジェクトは、ある種「地域文化」として核となっていくことができるのではないでしょうか。