戸上中は、明日が卒業式です。生徒の旅立ちは、嬉しいのもも、やはりさみしいものです。階段から吊るした卒業制作は、「お前らに会えてよかった」針金で作った籠のその周りは、赤い毛糸が無造作にからまりあっています。中にスケッチブックの紙くず、そして、数枚の写真。写真は、美術部員たち。
卒業する美術部員が1年生の時、私ははじめてとがびをやったのです。この生徒たちのエンジンはすごかった。暴走もするし、急に走る。急に止まる。自分たちの意思でどんどん動く。美術をやるからには、この精神をもっていなければならない。人の言いなり、指示待ちでは駄目なのだから。戸上中の美術部を日本一にしたのは、この生徒たちです。暴走して絡まっても、止まってしまっても、エンジンを噴かしていきましょう。この赤い毛糸のようにどんどん燃え上がっていきましょう。