さくらびレポート298〜さくらび2009年度を振り返る その8「中学生の身近にある美術とは」

櫻ヶ岡中学校の中平です。先日、ある大学の先生のメールを読んでいたら、「世の中にある美術と、学校の中にある美術との乖離」を問題としてとりあげていました。世の中にある美術の「毒」が学校美術には存在したのはなぜか。理由は簡単です。学校は美しいもの、正しいもののみが存在するのであって、生々しいどきどきするような表現は、子どもたちに見せてはいけないし、存在してはいけないからです。もしも、中学生が、本当に自由を求めて動き出したり、生々しい表現をし始めたら、今の学校は存在できないでしょう。つまり、美術といえども、学校に都合よい美術しか存在してはいけないのです。中学校は、全て生徒指導優先なのですから。
そんな学校教育の歴史を積み重ね、美術教育の歴史を積み重ねているうちに、中学生が身近に感じ、共感できるような美術は、学校はおろか、日本のどこにも存在しなくなってしまいました。それが、現代なのですから、中学生に身近な美術は実は、世の中にも存在しないのではないでしょうか。「中学生が共感できる作品の不在」。それが、現代の美術教育を難しくさせている一つの要因であると思います。