さくらびレポート10〜さくらび(櫻ヶ岡中学校美術科)2010の方針

櫻ヶ岡中学校の中平です。今日、やっと長野市にも春が来ました。写真は私の住宅近くの櫻です。グランドでは小学生が野球大会の真っ最中でした。

修学旅行や家庭訪問期間は半日授業でした。来週から6時間授業の通常日課が始まります。実はここ数ヶ月間、私は今年度の授業カリキュラムを悩んでいました。大きな原因は選択教科がなくなるため、その成果や損失をどう埋めていったらいいのか、もしかすると、別に埋めなくてもいいのではないか・・・。などいろいろ悩んでいました。いろんなアイデアが頭に浮かんでいましたが、実際やってみないとわからないことばかり。「やってみればいいじゃん」と思うのですが、一年後に失敗したからやり直しとできないのが教育の現場。私は実験でもいいかもしれませんが、実験される生徒はたまったものではありません。本番に臨むために、綿密な計画が必要なのです。いろいろ考えていて数ヶ月たってしまい、来週から授業になってしまいました。

奈良と京都に修学旅行へ行きました。行くと、様々なお寺があり、多くの仏様に出会いました。そんな中で、私自身が無理やりにでも手を合わせ、祈りを捧げてしまわざるをえない場所が3箇所あります。奈良の大仏様と、京都の東寺、三十三間堂です。あまりに大きな大仏を作らないと癒されなかった当時の人々の心。空海の行きたい平安時代、死体が累々と鴨川にあふれていた時代の切羽詰った真言宗の立体表現。千体もの観音像を作らないと癒されなかった当時の人々の生きていた世界。それらを考えた時、真実に心が造形や表現として私に伝わってくるのです。現代の美術表現でここまで説得力のある作品にはであったことはありません。でも、これら仏像ははあきらかに現代的にもインパクトを持った美術作品でもあると思います。

なぜ、上記のような話をしているかというと、今を生きている中学生にも、今しかできない、今をずばり表現し共感できる表現があると思ったからです。中学生に、授業を通してそういった表現にであったほしいと思ったからです。

話が長くなりました。今年のさくらびのテーマと大事にしたいキーワードを書いておきます。
昨年度の卒業制作を通して、改善点がはっきりしてきました。下記のテーマなどはできなかったことの裏返しです。必修授業を今後も重視していきます。

・大事にしたいテーマ
「やってみたら予想以上にうまくいった。もう一回やってみたい」をどの生徒にも

・ポイント
①材料体験を増やす・・・・「人は経験した範囲でしか思考することはできない」そのために授業で扱う素材を増やす。校内展示の工夫。プロや大人の作品鑑賞の機会を増やす。

②卒業制作のワクワク感を増進させる・・・・イベント的な展示の工夫。美術専門学校生などの卒業制作の鑑賞やレクチャー

外部の施設や公的な施設へも積極的に語りかけ、連携していきたいと思います。