東京アート日記:六本木

櫻ヶ岡中学校の中平です。連休中に東京の「六本木クロッシング2010」を見てきました。なんと、会場では作品撮影許可されていました。また、音声ガイドも無料レンタルされており、じっくり時間をかけて鑑賞してまいりましたので、少し個人的にレポートさせていただきます。

写真は、照屋勇賢氏の「告知」という作品。ハンバーガー店やデパートの紙袋で樹木を作っている。大量消費される商品袋が木を原料にしていることを確認させる。美しくもメッセージが明確。
また、入り口に沖縄をテーマにした作品がありました。問題が大きな場所にはアートが生み出される。それを再認識しました。中学校には、どんなテーマがあるんでしょうか。中学校も沖縄と同じくらい問題やテーマがあると思います。「不登校」「リスカ」「いじめ」などです。

chimpomという芸術家集団の作品。会場入り口に映像があり、カラスの集団を引き連れて東京都内を走りまくっている。カラスも鳴き声で集まってくるということを確認させられる。東京にからすが多いんだなあとも思う。
この集団は、リアリティーを追求している作風。カンボジアでは、地雷で作者の持ち物を本当に爆破し展示したり、渋谷の野鼠を捕獲し、ぴかちゅー風な剥製にして展示している。

すごいなあ、と驚くが、自分にはできないので、すごいけど距離を感じてしまう。

とてもインパクトがあったドキュメント映像「ミチコ教会」。老夫婦が自分たちの結婚式用に手作りした家が「ミチコ教会」。そこにいまだにひっそりと暮らしているミチコさん。時々そこで結婚式を、という若いカップルがおとづれる。

静かに流れる時間・・、どきどきする気持ちは「見てはいけないもの」を見た気持ちに近いのかもしれない。それほど秀逸な映像作品だと思う。とがび2009で見た桃蓮華鏡に近いインパクト。わすれられない時間である。

宇治野宗輝氏の音の出る廃材作品。時間になると、こたつやたんすが音を奏で、まるでヒップホップのようにご機嫌な演奏をする作品。私は中学生のときテクノポップにはまったことがあり、こうやって、いろいろなありふれた物が楽器に変身するという経験をした。その時の驚きや楽しさが思い出される。似たような作品は世界中にあると思うが、音を奏でる物たちのユニークな動きや音の空気は、ここへこないとわからないだろう。しかも手作り。一見、どうでもいいようなことを一生懸命やっている面白さって、アートにはあるように思いました。学校のいろいろな物品でこうやってご機嫌なサウンドが生まれたら中学生も喜ぶだろうなあ。

このほかにも、森村康昌氏の映像作品は強力だった。独裁者なんて、学校の先生はみんな独裁者かもしれないと思った。いつ自分がそうなるかわからない。学校の先生に診てもらいたい作品でした。

森美術館を後にして、国立新美術館へ行きました。福田尚代氏の本に苔?が生えてくるような作品には圧倒されました。小さなスペースへのエネルギーと時間のかけ方は感動的です。やってみたくなります。

桑久保徹氏の絵画作品は、いろいろなものが海岸に集まっている作品。久々に共感できる作品でした。夜空に波の音が響き、空には不思議な雲。決して上手ではありませんが、とにかく共感できます。

アートって、面白いですね。一年に一遍はこうやってじっくり見に行きたいです。中学生に見せたい!と思うのですが、長野ではほとんどこういうレベルの高い作品展は行われません。小スペースでもかまわないから、町作り計画に入れてみたらいかがでしょうか。善光寺周辺には土蔵などが多く残されていると聞きます。そこでアート展をやり、巡ったら楽しいでしょうね。