さくらびレポート188〜アートプロジェクトを通して考えたこと

櫻ヶ岡中学校の中平です。とがびや、さくらびも終わり、いろいろな発見やきづきが私自身たくさんありました。たくさんありすぎてどう整理したらいいか、わからない状態でした。そんな頭の中を、通常の必修授業を通して、少し整理してみると、今まで感じていたけれど言葉でいいにくかった、または、言葉が思いつかなかったことがいくつかはっきりしてきました。それを、いくつか書いてみたいと思います。

●こだわりのある自由
 私の美術教育は、何を生徒に感じさせ教えているのか。確かに色や形で何かを表現する力を身に付けさせようとしているのですが、「自由」の楽しいけど苦しい感じを学び、人任せに自分の意思を決定するのではない自分で考えて自分の方向を自己決定する力を身に付けさせようとしているんだと思います。その時、単なる野放図な自由は、放任であり、無責任だと思います。さくらびやとがびを通じて、私たちが生徒に感じさせ、力として身につけて欲しいことは「こだわりのある自由」なんだと思います。
 写真を見てください。自分のアイデアが本当にいいのか、自分のやりたいことに合致しているのか、何回もアイデアスケッチをして確かめています。これが、こだわりを原点とする自由なのではないでしょうか。

●思いつきも良いが、2段階ステップの発想力
 発想力とは、何でしょうか。面白いことを思いつく力だと思います。しかし、中学生の多くは、思い付きをストレートに形にしてしまいますが、もう一段階の発想飛躍ステップを美術の授業で教えないといけないと思いました。そのためには、おもいつきを形にする経験を積むということや、発想したくてたまらない動機を起こす題材が必要となります。発想力を鍛えるのは、9教科の中で美術科だけです。

●テーマはすでに中学生が持っている。
 やりたいことは、すでに中学生の中に存在します。それを形にする環境や場面があれば良いのです。しかし、今の学校現場は教師がテーマさえも与えようとします。あたかも中学生の考えていることは幼稚であるかのように。さくらびでは、中学生の持っているテーマは幼稚どころか、大人さえも驚かせる力があるということがわかりました。必修授業の題材も生徒一人一人のテーマが表現できるものに変えていく必要があります。

●アートプロジェクトは小さくしようとしないことが肝心
 アートプロジェクトの話題を美術教師と話していると、必ず「自分はここまで大きくできないから身近で小さなプロジェクトから始めます。」小さなプロジェクトで不特定多数の来場者を集めることができますか??大きくすることによって、お客さんが集まる。お客さんが集まるから、生徒は一生懸命自分の考えを語ろうとするのではないでしょうか。一般の美術の先生方が、なぜプロジェクトを大きくすることに抵抗があるなか、というと生徒指導上問題が起きるのではないか、という心配からだとおもいます。小さい中途半端な活動をするから生徒は興味が持てずに関係のないことを始めます。自分たちの本当にやりたいことをやっていて、しかも、地域の大人が協力者として常にいれば、そうそうはずれた行動はできないと思います。

以上、最近考えていることです。