さくらびレポート294〜表現か?クリエイトか?@3学年「卒業制作:夢」

櫻ヶ岡中学校の中平です。岡本太郎のドラマ始まりましたね。おもしろいです。

さて、中学校の学習指導要領で頻繁に使われている言葉が「表現」です。一体表現とは何でしょうか。自分の気持ちを色や形で伝えることでしょうか。領域は「表現と鑑賞」となっておりますので、どうやら美術科では「表現」を大切にしているのです。では、表現は、「クリエイト」つまり「創造」「作り出す」こととどう違うのでしょうか。私は全く違うと思います。表現の上を行くのがクリエイトということなのではないでしょうか。時々私も表現とクリエイトを混同してしまうことがあります。表現をもとめているのか、クリエイトを求めているのか、わからなくなる時があります。今の美術教育だけではなく、学校教育に必要なものは、「表現」ではなく、「クリエイト」ではないかと思うのです。表現だけでしたら、人間は何も語らなくても、何も行動していなくても「表現」しているからです。しかし、クリエイトすることは、それでは不可能なのです。これは学校だけではなく社会の中でも同じことではないでしょうか。私は、学校教育の中で、例えば教科以外の、清掃活動や生徒会活動をもクリエイティブであるべきではないか、と思います。クリエイティブマインドが社会や学校に、今必要ではないかと考えます。

前置きが長くなりました。3年生の卒業制作。実家が蕎麦屋を営んでいる生徒が、蕎麦を作りました。「この作品を家の見せに飾りたい」と言っています。単なる表現では終わらず、次のステージを創造していると思うのです。

写真の作品は、理科や科学が大好きな女子生徒の作品。試験管やフラスコを、この展示のために理科室から借用しました。また、水分を含むと球体に膨らむ謎の物質を通信販売で購入し、作品として展示しています。
背景のイラストも細部にわたってびっしり描き込まれています。

この作品は表現でしょうか?クリエイトでしょうか?

両方でしょうか?

作品の出発点は、「科学が好き」という気持ちの表現だったと思いますが、プロセスの中で、何かを確実に作り出しています。あきらかにクリエイトしていると感じます・・・。

写真は、廊下の天井から突き出した龍の足です。

何かを掴もうと狙っています。何を狙おうとしているのでしょうか・・・。

この作品は、あきらかに、作品を通して通行者にイメージを促しています。驚きや困惑、想像する「こと」をクリエイトしています。アートはイメージの入り口、と言われることがあります。生徒たちは表現をしていますが、更に上の人間関係や、状況、会話、驚き、などをクリエイトしているのではないでしょうか。

美術の授業では、このような表現を超えた創造、クリエイトをもっともっと狙ったほうが言いと思っています。