櫻ヶ岡中学校の中平です。夏休みに入り、一学期のことを生徒の作品を見ながら振り返っています。
写真の作品は、パステルを使ってグラデーションを作り、マスキングを行うことで、形作りの比重を軽くすることで、色彩に興味を持つ題材です。
制作時間は二時間。この二時間で、予め計画して表現するというよりは、何かアクションをますおこし、そこから次のアクションを思いつくという形で、何か自分の計画というかひらめきを見出していくという授業です。
ですから、最終的に、どのような作品になるのか、本人も書きながら決めていくという、一種はらはらどきどきな二時間です。
生徒たちは、美術の授業の中で、失敗を怖がり、失敗しない作品を求めがちです。
しかし、美術教育が、人間の生き方教育へちょっと荷担できるとしたら、「失敗を失敗と思うとそれを消したくなるが、偶然のおもしろい出来事である、とポジティブに考えると、そこから発想が広がる」ということを教えるチャンスにもなります。
そういう話を身をもって実感として語る場面に、この短時間題材「マスキングでグラデーション」は多く遭遇することができます。
かといって、授業中は、ちゃんと構成であるとか、色の組み合わせであるとか、そういう指導もしてます。
大事なのは、いかに、生き方や、難しさに出会ったときの考え方のヒントを授業中に与えていくのか、ということだと思うのです。
うまくいっているときは、あまり人は他者の話を参考にしないものです。壁にぶち当たったとき、単なる造形的な話に終始するのか、生き方に触れる話をするのか、そこがポイントなのではないかと感じます。