櫻ヶ岡中学校の中平です。
3学年必修授業では「卒業制作・夢」に取り組んでいます。今日は第5時間目でしたので、アルクラスの生徒を名簿順に呼んで計画表や途中経過の様子から評価をしました。
その中で、驚いた作品がありましたので報告します。
3年男子の生徒は、人体トルソーを立体で作ろうとしています。そのトルソーは、悪魔のような顔と天使のような平和な表情の両面をもっているそうです。その作品を作るための構想段階で、作者は家で様々な資料収集や試行錯誤をしてきました。
まず、今日見せてくれたのは、何かを口でかじろうとしている自分の写真です。しかも、様々な方向から撮影されています。表情も少しずつ変えて撮っており、試行錯誤の様子が伺えます。
そして、天使や悪魔の姿と表情が描かれたふるいヨーロッパ絵画の写真。
自分のイメージをできるだけ明確にするための資料集め。本人の心の中でいろいろなイメージのノイズを篩いにかけ、これだ!というイメージまで絞られているようです。
これはとても大事な力です。また、自分が何をやろうとしているのか、はっきりしていないと、ここまでのモチベーションの高まりはないでしょう。自分の意思や意欲が高いからこそ、できることだと思います。
そして、面接の最後に作者が見せてくれたアイデアスケッチ。
今まで集めた資料の使える部分を抽出し、自分なりに作品として構成されているようの感じます。
美術の授業で、「どんな力をつけることができたか」という問いを持つことがあります。でも、美術の授業とは、一体何をする授業なのでしょうか。美術作品の作り方を教えることなのでしょうか。私は、美術の原理、作品制作の原理、作品の見方の原理を教えながら、それを生活やものの考え方、問題や課題の解決の仕方や発想などに応用する力をつけているんじゃないか、と思います。絵を描く力、立体表現をする力だけが美術の授業でつける力なのではないと思います。
これは飛躍した考え方かもしれませんが、今回このブログで紹介した生徒の様子は、私が目指している3年間の理想的な生徒像に近い姿であると思いました。