さくらびレポート1〜24年度は渋谷からスタート!

櫻ヶ岡中学校の中平です。今日4月1日から平成24年度が始まりました。年度が替わったからといって、新しいアイデアや方法論が具体的にあるのでもなく、興味深い展示が渋谷周辺であると聞いたので、新幹線に乗って、東京へ行ってきました。

例年いなく寒い春です。東京の桜も少し咲いているようですが、まだまだ時間がかかりそうです。

まずは、青山にあるワタリウム美術館。いつも刺激的な展示を続けている美術館です。ここで、日本人の若手アーティスト集団「chim↑pom」の展示を見ました。
スーパーラットや、バーンドローイングなどコンセプトや考え方が本当に真摯でまじめだなあと感じます。ねらっているメッセージも私は好きです。原発の中に入ってレッドカードを提示している写真などもあります。写真は、岡本太郎「明日の神話」に「つけたした」福島第一原発の絵の部分。これも展示されていました。本物を見ることができてよかったです。
いろいろな活動により、社会的に批判されていることもあると聞きますが、今後も注目したいと思います。

初めて知ったフランス人アーティスト・JRの、プロジェクト映像。社会的問題を抱えている世界の地区に入り込み、アートを通して人々の心を開放し続けています。

目的を他者に置いて、徹底的にアートするスタイルは共感を呼びます。

世界にこのような地道に活動し、評価されているアーティストがいるということを知り、アートに対する懐疑心をちょっと持っていた私は少し安心しました。

まだアートは信じられる。

福島第一原発事故以降、私はアートに期待し、裏切られた気持ちになっていました。事故の後、明らかに私の美術や教育に関する考え方は変わりました。そして、こういうときだからこそ、アートは何かやってくれ!という期待感を持っていましたが、予想もしないアートの沈黙が訪れ、アートや美術は無力なんだと感じていました。こういう事態の時に何も事を起こそうとしない美術やアートなんて必要ないだろう、なくてもいいんじゃないか、と思いました。

しかし、実はいろいろな活動が進んでいたのを後から知りました。昨年夏の現代美術製作所「アトミックサイト展」は救われた気持ちになりました。そして、夏のフェイスブック上でも騒然となった「指差し作業員」の映像。見ている私は怖さも感じながらどこかで痛快気持ちを感じていました。「よくやってくれました!」という気持ちです。
その指差し作業員の展示が、今日4月1日まで、世田谷のXYZギャラリーで行われていると知り、行ってみました。

展示会場には意外と整然と並べられたJビレッジ内の写真や、映像に驚かされました。

また、指差し作業員を知っているという立場の竹内公太さんと糸電話で会話することができました。

何を聞いたらよいかわからず意味のわまらないことをしゃべってしまいました。が、作者のあの指差しポーズには、不快意味がこめられているんじゃないか、という考えにいたりました。行ってよかったと思いました。

ギャラリー巡りの最後、渋谷駅にある「明日の神話」。

水爆実験の被害にあった第五福竜丸をモチーフに描かれた岡本太郎の作品。岡本がピカソのゲルニカを意識していたかどうかはわかりませんが、岡本作品はとても、まじめにくっきりと、現代社会や人間の愚かさを表現しており、その一種ネガティブなイメージをこの渋谷という消費社会の典型的な場所に展示されているということがとても痛快でした。この場所は大好きな場所のひとつになりました。

私は、こうした社会派な作品、メッセージ性のある作品が大好きです。

平成24年度は、こうやってスタートです!!!