さくらびレポート19〜石膏かたどり「ビックリフィンガー」はなぜ面白いのか?

櫻ヶ岡中学校の中平です。中学校の桜もやっと咲き始め、金曜日にほぼ満開の状態となりました。やっと春です。

さて、本校美術科では、新入生の最初の授業は、二時間続きの石膏かたどり「ビックリフィンガー」を行っております。

自分の指をかたどり材に入れ、石膏を流し込んで、超リアルな自分の指を掘り出します。

最初の授業で、美術の面白さを堪能し、「美術っておもしろいなあ」という実感を持ってもらうのがねらいです。

美術の面白さとは何でしょうか?いくつか挙げられると思います。

まずは、絵や粘土だけではなく、様々なものが素材になるという点です。今回は「指」が素材です。「今日の材料は指だよ」というと、「えーー!!」と驚きます。

そして、「描いたり作ったりしないよ」「えーーー!!」「じっと静かに動かないようにしていると完成するよ」「えーーーー??」

作り方がいろいろあるのも美術の面白さです。そのあたりがこの授業での大事な点です。

石膏を雌型に流し込み、20分ほどで石膏が固まったら、「掘り出す楽しみ」を味わうことができます。「どんな指になっているのかな・・・」わくわくどきどきしながら掘り出すのは、独特の楽しさです。

以上、美術の「制作過程」の面白さ、楽しさではないかと思います。

なぜビックリフィンガーの授業が人気なのか。それは、まさしく制作過程の中に「かたどり材が固まっていく気持ち悪い感覚を楽しむ」ことができ、さらに「掘り出す楽しさ」があるという面白さがマンネリではないということがあると思います。プロセスが面白くないと、楽しくありません。大人も同じです。

指が掘り出されました。

次の面白さは「見る楽しさ」です。自分の指を見て、「げーー、リアル」「気持ち悪い」などと正直な言葉が飛び交います。見れば見るほど面白い。友達の作品と比べるとまずます面白い。指って同じような形だけど、一人一人違うってことが実感として伝わります。

鑑賞の面白さ、と同じなのではないでしょうか。生身の人間をモチーフとした作品鑑賞のスタートです。

そして、最後の面白さは「見せる楽しさ」です。

これを美術の授業では忘れてはいけません。自分の作品をいかに他者に面白く見せるか。これを考えさせるため、作品を家に持ち帰り、「どうやって家の人に見せるとおもしろいか」を考え、実行させます。家族の反応をレポートし、次の授業で発表します。

一年生の最初の授業で、美術のおもしろさを一通り体験する。これがビックリフィンガーの面白く、可能性に満ちた内容です。