個人個人、自分の思い出や、こだわりは、もしかすると、何か物を通して喚起されるのかもしれません。物からリアリティーを発見する生徒もいれば、記憶やイメージからどんどん絵として表現できる生徒もいるかもしれません。
8時間という時間をかけて、「全く自由に」パステルを使って絵画表現をしました。
写真の生徒は合唱部員。今年のコンクールでは金賞を受賞しました。
この作品で秀逸なのは、床の表現だと思います。主役はしっかりと誰でも描こうとするでしょう。しかし、この作者は、床をシンプルですがしっかり描いています。
驚きです。
奥行きを出したい、と願う生徒は多いです。しかも、奥行きを出すためには遠近法を使わないといけないのですが、特に野球場などを描こうとする生徒に限って、なぜか遠近感完全無視による?ベース板真上表現を堂々と行ってしまいます。
ちょこっとでも斜めから見るようにすれば・・・・、とアドバイスをしても、なかなか描けないことが多いです。
この作者も同じですが、思い切って遠近感を強力に行うことにより、地面と目の高さが近づき、奥行き表現に結びつきました。作者がキャッチャーだったということも要因としてあるかもしれませんが、思い切った表現が説得力を増していますね。
吹奏楽部の作者は、メトロノームを描きました。
音がしたり、楽器だったりする物をモチーフとして選ぶ生徒が多い中、メトロノームとは・・・!!!
よくぞ、こんなにおもしろく、そして表現が難しい物を選びましたね。なかなか一般的な物ではありませんし、音が小さい。そしてなにより、動いている針が細すぎて、どう表現したらいいのか、悩みますよね。
でも、見て下さい。針にもしっかりハイライトと影の表現がなされ、立体感が描き込まれています。
これも説得力。
中学生恐るべし・・・・。
来週の相互鑑賞会が楽しみです。