思考の交流 「言説の鬼」Ⅱ

いよいよ、今年もAAFの本番が近づいてきました。様々なイベントも目白押し!
準備の様子を報告する場でもある、このブログの内容も、どんどん盛り上がっています。

 そこで、このブログというバーチャルな場で「知のコミュニケーションを図る」企画、思考の交流「言説の鬼」もAAFのプロジェクトとして進行中です。みなさま、お忘れなく!こちらもよろしくお願いします!
 このプロジェクトの会場は、みなさまが見ているこのブログ上のみです。派手さには欠けますが、みなさまの反応が、このプロジェクトの「命」です。どうか、ご意見、ご感想など、コメントをどんどんお寄せください。

 今回、愛媛のアートNPOカコアの徳永さんからバトンタッチされたのは、お隣、香川・高松 まちラボのコニシさんです。
 お題は引き続き「あなたのアートの引き出しを教えてください」です。

アート×まち=? 

 初めまして、まちラボ@高松のコニシです。
簡単に自己紹介すると、まちラボはまちづくりラボラトリーの略。よく人やモノが出会う時に、1+1=2じゃなくて、□×△=∞みたいなことが起こるじゃないですか。出会い方によっては、日々小さなビッグバンを起こし続けているようなもので、その「出会いの化学反応」のエネルギーを積み重ねていくと何が起こるんだろう?そんなことが私にとってここ数年の一番の関心事です。アートとの出会いは、私にとってかなり大きなビッグバンを起こしてくれたものの一つ。ビッグバンというか、とっても大きな命題を知ってしまったのかも(苦笑)。

行動する「アート」

 最初に出会いを意識したのは、藤浩志さんの「かえっこフェス」に参加したこと。(http://geco.exblog.jp/)そのすぐ後に、きむらとしろうじんじんさんの「野点」をまちラボで企画&実施しました(http://www.machi-lab.com/news00.html)お二人に共通するのは、美術館を飛び出しちゃったアーティスト。大阪のSAPSで行なわれている「ブレーカープロジェクト」(http://www.sap-s.jp/main.htm)はその好例ですが、「アートが社会に作用する」というのを目の当たりにしたたぶん最初の体験だったと思います。

特にじんじんさんには、本当にいろんなことを教わりました。よく、彼は両手の人さし指と中指をカニばさみみたいにしてふにゃっふにゃって2回曲げながら「アート」って言う時があるんですよ。要はカギカッコつきで概念化された『アート』ってものと、自分たちのやろうとしているアートを言い分けようとしたんだと思うんですけど、「行動するアート」があるのかって初めて知った。事実、見慣れた市井の空間が彼らによって見事に「非日常」になった。

「アート」を万能な言葉にしてしまわない

 次に大きな節目になったのは、世田谷ものづくり学校(http://www.r-school.net/)の校長・松村拓也さんをお招きしてイベントをした時。松村さんにはシゴかれました。もう最初の打ち合わせから撃沈(笑)「アートとデザインの違い」はどこにあるのか。その時の私はいろんな人の言葉は引用しても、自分の答えを持っていなかったんですね。松村校長が身を持って教えてくれたのは、それが正しいかどうかではなく、自分の答えを探し続けることを怠るなということ。“答え”ではなく“答えの出し方”について。「アート」を万能な言葉にしてしまわないこと。
 本当に脳ミソがくたくたになるまで考えたイベントでした。ちなみに当時の拙い私が見つけた答えは、アートとは「生き方〜どう生きるか」に関わるもの、デザインとは「コミュニケーション〜どう伝えるか」の領域を扱うもの。今ならなんて答えたかな?あなたならなんて答えますか?

ベクトルの力

 それから越後妻有の「大地の芸術祭」(http://www.echigo-tsumari.jp/)も衝撃だった。まさに「アートとまちおこし」がダイレクトにつながった瞬間。北川フラムさんはずばりアートの力を「時間と空間をつなぐもの」って表現していました。皆さんもご存じの通り、今まちづくりは「アート流行り」です。○○アートフェスみたいなのがそこかしこでやられてる。なんでだろう?って自分なりにずっと考えているのですが、アートの力って、じつは「パワー」じゃなくて「ベクトル」なんじゃないかと最近は思っています。つまりそれ自体が方向性を持っているというか。それは、作家の意志なのか、作家が捉えた時代の流れなのか、はたまたそうあってほしいという「願い」なのか。いずれにしても、現存しない何かへ向かおうとする推進力。
 今まちづくりの中でアートが求められるのは、停滞した現状に何らかの光を指し示してくれるからなのかもしれません。それは答えでも何でもないし、ヒントですらないかもしれない。ただ、どこかに向かって進もうとする透明のエネルギー。いかにこのベクトルを失速させずにまちなかで展開できるか、そんな妄想を膨らませる今日この頃です。
アート×まち=
皆さんはこのビッグバン、何を生むと思いますか?

みなさま まちラボ、コニシさんにどんどんコメントお寄せください。

 さて、次回は四国からちょっと飛び出して、淡路島のNPO法人淡路島アートセンターのやまぐちさんにバトンタッチです。予定は約2週間後。では、どうぞよろしくお願いします。