中沢新一 狩猟と編み籠

ここ数年、中沢新一氏の本をよく読んでいるわたしは、最近刊行された「対象性人類学Ⅱ 狩猟と編み籠」も漏らすまいと読んだのでした。この本は多摩美術大学にある「芸術人類学研究所」が発刊するもので、「カイエ・ソバージュ」シリーズの「対象性人類学」の続巻という位置づけになります。

写真 左が「芸術人類学」、右が「対象性人類学Ⅱ 狩猟と編み籠」
それにしても、中沢さんは目のつけどころが違いますね。内容はこれから読まれる方がいるかもしれないので、深く触れませんが、人類最初のアートが生まれた場所、イニシエーションの場所である「洞窟」と、現代の総合芸術である「映画」が結びつくなんて!さすがです。
映像で表現活動を行っている人は、参考になるかも・・。
グラフィックデザイナーという立場で、カコアというアートの団体に参加している身としては、最終章の「映画的構造」(こちらがアート)「テレビ的構造」(こちらがデザイン)など当てはまるのではないか、いや、この両方を自由に行き来しながら取り持つのがデザインではないかと、いろいろ考えさせられました。

中沢さんの本は1冊読んだだけでは、よくわかりません。ということで、この際コマーシャルしておきましょう。右の写真の5冊は「カイエ・ソバージュ」シリーズ。この本を読んでおけば、最新刊の「狩猟と編み籠」も理解しやすくなります。

続いて「アースダイバー」「精霊の王」「緑の資本論」「フィロソフィア・ヤポニカ」これらの本も様々な部分が「カイエ・ソバージュ」シリーズと結びついています。

それにしても壮大です。これだけ読んで、ようやく中沢さんの考えていることが、少しずつ結びついてきて、おぼろげながら見えてきた気がします。

本を読む場合、細かく「重箱の隅をつつく」ように読まれる方がいらっしゃいますが、中沢さんの本は、これを1冊だけ読めばいいという本はなく、本をまたいで解説をされている場合が多いので、多く読めば読むほど、様々なものが結びついてきて、非常に感動できます。(すごくコマーシャルになっていますね。このコーナーでアフリエイトできればいいのに−笑)

最初に読まれる方は、新書で「憲法9条を世界遺産に」写真右(爆笑問題太田光との共著)、「イカの哲学」写真左(波多野一郎の哲学を紹介)、というのもあります。話題がひろく一般的な内容なので、読みやすいかもしれません。この2冊も「憲法9条を世界遺産に」の言葉足らずだったところが、「イカの哲学」で説明されているという部分があるので、両方読んだほうがいいでしょう。

それにしても、すごくコマーシャルしてしまいました。
これから読書の秋。秋の夜長を、有意義に過ごしたいものです。

藤岡でした。