「GOTEN GOTEN 2006 アート湯治祭」、9月の企画は音楽。この日、東鳴子の小さな駅、JR鳴子御殿湯駅で「駅コンサート」が開かれました(氏家さん撮影によるオフィシャル・サイトでの記録はこちら)。
コンサートは19:07から。ちょうどこの時刻に陸羽東線の列車が出た後に始まります。しかし構内には1時間近く前から人が集まり始め、開演10分前には構内はいっぱいで入りきれない状態に。急遽ホームへも椅子を並べて客席をつくる盛況の中、コンサートは始まりました。
コンサートは橋本晋哉さんのテューバソロによる即興演奏で始まりました。演奏の中、それでもまだ続々と観客が集まりはじめます。
2曲目は上田仁さんのトランペット、永井由比さんのフルートも加わり、トリオによる「塩竈甚句」。これは縁台の縁で東鳴子が懇意にしている同じ宮城県にある塩竈からかけつけてきた方々の返礼の意味で。
つづいて、上田仁さんによるトランペット・ソロ。ジャチント・シェルシの「4つの小品」4曲を、途中、大場陽子さん作曲の「ごてんゆ行進曲」などをはさみながら歌い上げます。
「ごてんゆ行進曲」はご存知、この企画の企画者であり作曲家の大場さんが2年前、東鳴子ゆめ会議の依頼を受けて書き下ろしたもので、この日はこのとびきりの三人によるぴりりとした演奏を聴くことができました。
また、この日は大場さんのトランペットとテューバによる新曲「蜘蛛の網(い)Ⅳ」が初演されました。バリバリの現代曲でしたが、はりつめた空気の中、みな蜘蛛の網にからめとられたように耳を傾けていました。
そしてこの人、永井由比さんのトークあり、パフォーマンスありのフルート。絶妙な緩急で、場はまったくまのびしません。
途中、19:50の下り電車がホームへ入り、観客の輪に加わる方も。
やがてトリオでのバッハと「ジブリ・メドレー」へ。コンサートはクライマックスを迎えます。
ここで突然、東鳴子ではじまった山づくり百年計画「山守り湯治」を記念して制作された山の絵と海の絵が披露され、海の絵は塩竈の方々へ贈呈。来年、実施が計画されているなること塩竈とを結ぶアートなプロジェクトについて一言説明が行われ、大場さんのしめのあいさつへとつづきます。
コンサートを企画した大場さんからのあいさつ。やがて上りの最終列車がホームに入って来ます。何人かの方がなごり惜しそうに列車の中へと消えていきました。
列車が走り去った後、なりやまぬ拍手にこたえアンコールが演奏されました。演奏家3人がそれぞれ小品をソロで。
こうして東鳴子の夜はふけていきました。
(コメント:門脇篤)