通い湯治その134「西古川」

JR陸羽東線、古川の次の塚目を過ぎると西古川となります。地図上では中新田の最寄駅ですが、ここで降りて歩いて中新田へ行く人はいないとのこと(車でたった5分です)。
無人駅はひっそりとたたずんでいました。

駅の中で一枚の新聞記事の切抜きを見つけました。西古川の方が地元の名所を案内してまわるツアーの記事で、自然なもてなしが好評とのことです。
地元の方が地元のよさを地元の目線で知っていただく。すると外から来た人には情報誌的なデータ化されたものとはまったくちがったものを味わうことができる。これはまったくその通りで、逆にこれまでの「無菌化」されてきた情報なるものの均質な不健全さ、いびつさに改めて気付かされます。それはあたかも見栄えのいい野菜のようなもので、リアルな体験とは程遠いものです。

その土地その土地でしか味わえないローカルな本質さと対峙できるようなアートを展開したい。陸羽東線という、この細々としたローカル線をたどるだけで出会うびっくりするような多様さを前に、改めてそう思います。
その土地に愛着をもって暮らす地元の方々のお話を聞き、しっかりと連携しながら、アートにできることを考えていきたいと思います。

(コメント:門脇篤)