「アートin湯治(AIT)」5日目の9月2日は曇り空。午前中は染みる緑の中に立つ旅館大沼の離れ・大沼山荘で宮城県地域づくり協議会の研修で、東鳴子ゆめ会議代表の大沼伸治さんと私・門脇による講演がありました。
「アートをいかしたまちづくり」「東鳴子ゆめ会議の取り組み」といった内容で、お座敷で聞く大沼さんの絶妙な間合いと身振り手振りを交えた粋なトークは、「研修」というお堅いイメージとはほど遠く、まったくあきさせない時間でした。
午後は鳴子公民館横の「石彫り広場」に集合。アーティストによる「アート・ツアー」が始まりました。
まずは高橋健太郎さんの作品「風が水を運ぶ」。鳴子の間伐材を使った作品で、宮城県旅館組合青年部の協力を得てつくられました。制作中は、町のみなさんがかわるがわるたずね、汗だくでチェーンソーで木を削る高橋さんの労をねぎらいました。
高橋さんの作品には、いつも品格というか、明るさというか、見ているものを幸せにする手作り感が備わっているように思います。今回の作品も、山へこぎのぼってきたボート、あるいは大男の木ぐつなど、豊かな鳴子の山や木をイメージさせ、しかもそれがとても明るく、素直で、やさしい感じがします。
木彫家とあって、木にはちゃんと彫刻がほどこされています。
たった数日でここまでつくるには、たいへんな気力が必要だったかと思います。
今回の「AIT」を象徴するような作品になったと思います。
本作品は、10月下旬まで東鳴子に展示された後、10月27日前後から岩出山の感覚ミュージアムに移設され、12月9日まで展示される予定です。
その後は鬼首の「きつね森王国」へ永久設置されるか、もしくは高橋さんが秋保のアトリエに引き取るかすることになっています。
(コメント:門脇篤)