「DATE SPIRAL Ⅱ」@ユービック

GOTEN GOTEN 2007 アート湯治祭」の美術企画「りくとうアートライン・セカンドステージ」(10/30〜12/9、東鳴子および岩出山エリア)で、岩出山にある「ユービック」に出展する作品をつくっています。

岩出山は、かつて豊臣秀吉に一揆扇動の嫌疑をかけられた伊達政宗が、米沢より国替えを命じられ、仙台へ移る前の一時期を過ごした場所であり、有備館は現存する最古の藩校といわれています。
その有備館の目の前に立つJR陸羽東線の有備館駅前にあるのが「ユービック」であり、その一部をお借りして展示をします。
私はそこでの展示を考えるにあたって、有備館と、岩出山や鳴子が位置する豊かな大崎平野をテーマにしようと考えました。

つくっているのは、紙を切り抜いてつくった「椅子」です。あんまり似ていませんが、学校の椅子をイメージし、背もたれには伊達政宗の兜のマークを入れてあります。これを無数に天井からつるし、床には兜のマーク型にお米を配置しようと思っています。
椅子ははじめにデザインしたものをもとに、次の椅子を切り抜き、その切り抜いたものをもとに次の椅子を切り抜き…という具合に、ナンバリングしながら、つくっていきます。すると段々、最初にデザインしたものとは微妙にちがったものになっていきます。

私は以前から、ひとつの型をもとに、無数の椅子や葉っぱをつくる、という作品をつくったりしているのですが、これはそれとはちがい、毎回次々に「お手本」がかわっていき、20個もつくると、かなりちがったものになってきます。が、だからといってそれほど変わるわけでもなく、といった感じ。
なぜこうしたものをやろうと思ったかというと、それが何か「家訓」とか「家」とか、あるいは「学問」とか「手習い」とか、そういったものを連想させるように思ったからです。それはもちろん、有備館が伊達家の学問所であったことからきています。次の世代、次の弟子へと受け継がれていく伝統やしきたり、知識といったものは、次々に微妙な変化を含みながらも、しかしおおまかには脱線することなくつづいていく。
それがいいとか悪いとかいう前に、私はそうしたものをつくってみたいと思いました。そしてそれらの無数の紙の椅子の下には、豊かな大崎平野の幸たる白い米が置かれます。それは本当の豊かさなのか、経済的な豊かさのみをあらわしているのか、あるいは単に白さとか、そういうものなのか、どうなのか。
タイトルは、すでに設置を完了している「あ・ら・伊達な道の駅」の展示「DATE SPIRAL」につづくものです。
とりあえず初日には間に合うように制作を進めたいと思っています。

(コメント:門脇篤