全国の「まちとアート」をテーマにした企画が集まる「アサヒ・アート・フェスティバル(AAF)」。今年、2008年も公募で選ばれた全国プログラムの企画者が一堂に集まり、プレゼンを行う「ネットワーク会議」が、ここ東京・浅草のアサヒ・アート・スクエアで開催です。
コミュニティアート・ふなばし理事長・下山浩一さんの司会で会議はリズムよく進みます。
まずはアサヒビール芸術文化財団の加藤種男さんからのごあいさつ。
まずは、「もうやめるやめると言っていたけれど、AAFとこの身を共にするつもり」との発言に、会場がもうわいています。企業は地域社会に貢献しなければ存続できないという考えのもと、AAFを進めてきたが、いくつかの事例から、地域再生にアートが有効な手段であることがわかってきた。芸術文化はそれ自体に価値があるものであって、何ものにも利用されてはならない、という考えでやってきたが、こうした状況を前に、利用され、活用されていかねば芸術文化の振興もまた無いのではないかと思うに至った。十分な作品としての強度があれば、いかに他に活用されようとも、びくともしないはずであり、アートの内容を大切にしながらも、それをうまく活用するすべを見つけていきたい。
といった内容のお話でした。
つづいて20以上に及ぶ全国のプログラムが紹介されました。いくつか印象に残った点をあげると、
「ノボリトアート・ストリート」(神奈川):アーティストとお店の関係づくりから、お店どうしの交流へとシフトしていきたい。
「BEPPU PROJECT」(大分):温泉というホスピタリティ型産業からクリエイティブ型産業へとシフトしていくことが重要。継続的にこうした事業を行っていくためにも大切なのは人材育成。コミュニティビジネスや職業訓練学校のカリキュラムづくりなどの事業を進め、文化的な考え方や連携の仕組みを提案していきたい。
「はっぴぃはっぱプロジェクト」(宮城):昨年一年お休みしたことで、ぜひまたやってほしいという願いがまちにあることがよりいっそうはっきりした。商売以外の人が入ってくることが、自分たちにとっての元気になる、と経営者たちは自覚している。
「アートリンク」(岡山):アーティストどうしが突っ込みあいをする中間報告会のようなものが非常に有効だった。企業や行政へ報告書を作成して配布している。
「サタデー・チャンゴ・フェスティバル」(東京):マイノリティーにしか見えない問題がある。それを提示したい。
東鳴子「GOTEN GOTEN 2008 アート湯治祭」も、「東鳴子は現代の桃源郷。いつ見えなくなってしまうかもしれないような貴重な場所であり、ぜひこの夏は湯治場で湯治体験をしてもらいたい」というような話を、すばらしいお風呂の画像の前で行いました。
実にさまざまな企画が集まったこの会議。お昼に始まってやっと終わったのは6時過ぎ。後はアサヒビールを手に交流会の始まりです。また今年もいろんなお知り合いが全国にできました。なかなかそれらに足を運べないのが残念ですが、このご縁はきっとじわじわときいてくるにちがいないと思います。
ということで、ネットワーク会議1日目はおしまいです。
(コメント:門脇篤)