みなさん、エクアドルより藤岡亜美です。マグダレナ→フニン→エル・ロサル→アプエラ→サンタ・ロサ、と、しばらくインタグの村々をまわっていました。(ツアーメンバーもアンニャやカルロスとの再会を楽しんでいました!)ひさしぶりのネット環境で、日本を覗き見ています。グローバルフェスタ、土と平和の祭典、楽しそう!!エクアドルでは、懐かしいことも、楽しいことも、大変なことも、美味しいことも、悲しいこともありました。あと20日。帰ったらゆっくり報告する間もなさそう(!)なので、少しずつ報告をはじめようと重います。
エクアドルは先週、新しい憲法への政府案に体する投票が終わったところ。65%の人がSi ーー新しい憲法案に賛成!したそうです。
私が聞いたひと(商品の作り手だけでなくドライバーの人とかバスでとなりの人とか)も、ほとんどが、「Si , Claro!」もちろん Yes。とくに、教育と子どもの保健医療に関して政府が大部分を負担する、というくだりに、子どもが沢山居るここエクアドルの大多数の人がひかれているようです。Siーー賛成派には、「もうNoといい飽きてしまった。」という理由や、「変化を続けたい。」(エクアドルは経済的に良くなってきている)という理由も多い。(良い点は沢山あって、先住民の言葉や環境についていい条項も多いそう。また、新憲法が通れば在住外国人にも投票権がもらえるそう。)
けれど、インタグのように、地方で鉱山開発と闘っている人たちの中には、「No」に投票する、という人たちがいました(しかしインタグでも多数ははSi。そこらじゅうの岩にSiとペイントしてあって、自然の岩に書いてしまうことに少しうんざり)。コレア大統領は当初、環境派のようにふるまっていたけれど、鉱山開発に関して最近は、推進派の立場を示しているそうです。憲法の政府案では、「鉱山開発には、地元コミュニティーの承認は必要ない」となっているそう。
ということは、地方の環境を破壊し、資源を切り売りしたお金で、教育や医療をととのえる。逆にいうと、広く人々に訴えかけることのできる「教育」に多額のお金を使い納得させ、でも一方では、そのために必要な資金を得るために、石油や鉱山の開発をどんどんすすめられる憲法にしようとしているのでは。マンドゥリアコスという地域にある原生林にも近いパライソ(パラダイス)という200人の村。そこで村長さんに爪痕のようにいくつもある金山を案内してもらいながら、そう思いました。
彼はまだ23歳。アクセサリー工房(金山仕事のオルタナティブ)をはじめたばかりーー選挙の結果はどうあれ、憲法が決まり次第、また鉱山開発者は順次やってくるだろう、そしてコミュニティの水源が危ないーーと、小さい(インタグ新聞の人たちは、ベネズエラのチャペス政権のように、大統領権限が強くなると懸念していました。)
そんな時期(エクアドルでは選挙前は禁酒なんだって!)に、いろんなコミュニティーをまわりました。カカオ、チョコレート、コーヒー、ニット、タグア、石けん、カブヤ、ヘチマ、帽子などなど、自分の足下の資源を大事に、コミュニティー全体で子供たちをみつめて、まずは身近にあるもので身体を整え、手づくりで工夫をして暮らしている人たちです。みんな憲法の冊子をバスで買ってきたり、話題にしたり、日本よりも、ずっと政治への関心(と政治と暮らしがつながっているという感覚)は高いと思いました。
<報告 その1>
*サリナス村では今年も新しいチョコレートを製作。アヒチョコの妹、「ハチチョコ」のために、先住民中心の養蜂家のグループを訪問、宇宙服みたいな防護服で、ハチとの付き合い方をひとしきりみせていただきました。以来、ハチをじいっと観察するのが趣味に。
数日前の朝は、お花のなかで、花粉を集めるハチを親子で10分以上だまって(かたまって)観覧。黄色い粉を少しづつ、足に擦り付けてはまるめるハチをみて、「ハチさん、卵食べてる。」と言ったうちの娘(1歳8ヶ月)、、さすが、根っからの食いしん坊(せっかくの原生林でもたいていは食べるものを探している始末)。
ーーこの製品には、養蜂家、森林農法カカオの作り手、チョコレート作り手、ニットの編み手、タグア製品の作り手、と5つのグループの人たちが関わってくれています!彼らに、日本でタグ付けなどを手伝ってくれているアミーゴの方々のことも紹介しました。今週は、ふたたびチンボラソ山麓へ。森林農法カカオの村の会合に、チョコ工場リーダーのホルヘと一緒に向かいます。
*海岸部、リオムチャーチョ農園では、日本で行うあるワークショップのための、素材を、若者グループに作ってもらう仕組みを話し合ってきました。まずは、11月5日6日にNPO法人五環生活さんで行うキャンドルナイト&お話会(@彦根市男女共同参画センター)にて、参加者のみなさんにおひろめ(体験していただき)ます! フェアトレードの手づくり指輪!!
*鉱山開発会社を再び追い出した、インタグコーヒー&カブヤ編みの生産地、インタグ。石けん、ヘチマ、コーヒー、カブヤ、などなど、コミュニティーごとのオルタナティブな仕事や、エコロジカルな取り組みが育ち、世界でも先進的な地域へと着実に歩んでいる印象を受けました。政府の計画している大規模な水力発電に対抗して、コミュニティーでの(エコロジカルな)小水力発電のための調査も進んでいました。
今回SWCは、カブヤのバッグに先住民文化の布の裏地をつけたり、エコロジカルレザーと組み合わせたものを製作。とても素敵です。また、作り手の人たち全員に、それぞれ箸袋をデザインして試作してもらう商品開発コンペティションを行いました。50人以上で商品企画をすれば、きっと素敵なものが生まれるに違いなし。受賞者は、日本のお客様に選んでいただきたいと思います!
*石けんを作っているロサル村は、90%が親戚という小さなちいさな村。(ビールを売っている店もないので、うちのパートナーは苦しそう。)最近、石けんづくりの女性グループ内に、20歳の男の子ファン・カルロスがディレクターとして参画。ちょっとフットワークの重い女性たちに変わって、新しいパッケージ案など、迅速に対応してくれました。石けんの原料であるアロエやパパイヤの畑には朝6時からハチドリがわんさか。
でも、村で、彼らが私たちに一番見せたかったのは、、、親戚の男の子たちで作った、音楽グループ「generacion」(ちょっと名前が古くさい?)。アンデスの伝統音楽を、ギターと唄と太鼓とサンポーニャで。インタグのコミュニティーラジオのために楽器を習って作ったところ、大ヒットしてしまい、8ヶ月後の今、首都キトからも出演オファーが来るそう。。。
夜はふだんは静かな村のキツツキの声をかき消して、ビールなしの宴が、えんえんと続きました。それから、generationと石けんグループのひとり、フランクリン(もとAACRI会長)が新しく家を建築している場所へと案内してくれました。谷間の原生林も見渡せるすばらしい眺め!足場しかないところをあるきながら、ここをキッチンにして、朝はここに座ると雲霧林の霧が上ってきて、コーヒーを飲んで、ここにはコーヒーと、カンナと、バナナを植えて、そして将来は小さな森になる、という風に、楽しそうに説明してくれて、こらちもハッピーになりました。
その数日前の晩に、エクアドルの民営テレビで、出稼ぎにいかなければいけない先住民の人たちが、どのくらい少ない資金で暮らしていて、どんなに大変か、というような内容の番組を、顔にモザイクをかけて、放送していたことを思い出していました。音楽で出稼ぎに行くキチュア族の男の子は割と希望に満ちた顔をしていたのに(音楽で他の国で食べていけるってすごくかっこいいと思うし)、そのお母さんはインタビューで、ムリに、どんなに悲しいか、お金がないかを言わされていて違和感を感じました。なんだか、それが「だから変化を続けよう!」という、Siー憲法賛成!の旗とつながる気がしていました。
続く。