ナマケモノのみなさま、こんにちは。クズザンポーラ!は、ブータンの国語ゾンカでこんにちはです。原愛子です。
このたびはブータンツアーにナマケモノ倶楽部スタッフとして参加させて頂きたくさんのことを学ぶ場をいただきました。ツアーに関わったすべての方と、こんなチャンスをくれたナマケモノ倶楽部の皆様にまずお礼が言いたいです。たくさんの仲間とともに素晴らしい経験を積んでくることができ、遺伝子の奥深くに刻まれるような思い出となりました。
私はいくらスローと名のつくものが好きであっても、旅は1人で、と思っていました…..がしかし、こんなにたくさんの人たち、(総勢25名)といっぺんに仲良くなれるなんて….なまくらのツアーでしかあり得ないのでは?とおもいました。
参加者もさまざまで、南は九州、北は北アイルランドまで。現役大学生から結婚40週年目のご夫婦まで….とても濃密な時間をブータンという国で共有することができました。いろんなことがありすぎて何を書いていいのやら、でもなるべくてみじかにご報告いたします。
まずこれからブータンの旅行を考えている皆様にアドバイス。日程はなるべく長い方がおすすめです。この国は移動にホントに時間がかかります。
ファストな移動手段がないのですから目的地に着くまでが長いです。のんびりガタゴト。でもその代わりに、バスに同乗した仲間たちといろんな事を語り合う時間が生まれてくるのです。
窓の景色を見ていろんな動物を探し出したりも出来ます。そして山道になれて車酔いしない丈夫な体を手に入れることができるかもしれません!
そして経済発展に頼らずGNHのマニュアルなしで豊かに暮らして
いる人たちがいるブリ村には2日間かかって到着しました。
自分たちの生きる土地に敬意を払い、生きとし生けるものの幸せを願い、文化を大切にして誇りに思って、助け合い、分かち合い、笑い楽しみ合う、そんな人たちに出会って私が思った事は
「こんな遠い所まできたけど、日本にもいるよ。まだきっとこんなところ、あるはず。」
日本に戻ったら、日本中を旅してそんな場所を探したいと思いました。
いや、東京にいても自分がその一人になりたいと思いました。
当たり前すぎて気づかない事をブリの人たちに目の前に突きつけられたような気がします。しかも本人達はいたってフツー。
ブリ村を大好きになってしまい、ツアーは始まったばかりなのにもう、ここが一番好きなんじゃないかって言うくらい去りがたい場所でした。
その後も移動を続ける中、たくさんの場所と人を訪ね急激なブータンの変化をかいま見ることになりました。そればブリのような場所ばかりではない、東京みたいに激しく変化していく町や村や人との出会いでした。
ツアー参加者それぞれが抱くブータンというちいさな国への思いはあちらこちらで議論され、ブータンの未来に不安を感じ、先進国として責任を感じ、変化の流れの前にさらされた国民を見ているとなんだか現状維持する事すら、なす術がない様にさえ思われました。
そして出された結論は、変化に渦巻くブータンの人々に「モノはそんなにいらないよ。」なんて言えないということでした。
GNHという政策は一度精神的な豊かさを手放してしまった人々の心にとどくまで少し時間がかかる気がします。やはり失ったものを取り戻すのは大変な作業なんです。いまの日本人の多くはその事に気づいているはずです。だからブータンの変化を止めることができない事が我が身を切り裂かれる様に切なく感じてしまうんです。
しかし国民の事を第一に考える政府、国王がいる限り、仏教の教えを守る僧侶達がいる限り、その信仰心が崩れずにブータンの人たちにとって一番いい方法で経済成長遂げられるのではないかとおもいます。
こればっかりはマニュアル通りにはいかないでしょうけど。
経済と精神のバランスのとれた国家を日本も目指してほしいものです。そしてブータンとはこれからも学び合いながら成長し合える関係でいられたら素敵だな、と感じました。
私たちはとても似ているのです。会った瞬間に兄弟なんて呼び合いたい人たちが地球のどこかにいるなんて、もう、ホントにうれしくなってしまいます。その喜びに、生きてる事に感謝したくなってしまいます。そしてブータンの人々はこういうんです。
「私たちが今ここで同じ時を過ごしているのは偶然ではないんですよ。前世のカルマで約束していたんです。また会いましょうって。」
原愛子
(掲載写真:原愛子撮影)