生態系豊かな森を守り、育てたいと願うみなさま
ナマケモノ倶楽部にとって、大事な友人たち(カルロス、ノルマ、 シルビアなど)の住む生物多様性の宝庫。 インタグコーヒーやカブヤ編みのふるさとであるインタグが、いままた、鉱山開発の危機にさらされています。
以下の文章を読んでいただけると背景が分かると思いますが、アマゾンの森林保護を国家戦略として大きく打ち出しているエクアドル政府が、その一方で、インタグ地方を開発区域に指定しました。
世界中で、石油や鉱物などの地下資源の枯渇するなか、これまでなんとか守られてきた地域の自然が壊されたり、(チリの鉱山のように)危険な労働条件で採掘を進めるなど、残った地下資源を巡って開発推進の動きが高まっています。
そんななか、フェアトレードやエコツーリズムなど、住民自身が、草の根運動でエコロジカルな暮らしを作ろうと立ち上がり、私たちが10年以上手をつないできた、このエクアドルのナマケモノの里の人たちの思いを、世界に発信し、世界中でもう鉱山開発の要らない暮らしをつくるため、日本からできることを探し続けたいと思います。
まず、第一弾として、今年中に、下記の文章をスペイン語に翻訳して、現地の新聞広告(エクアドル/チリ)に掲載したいと思います。効果的な誌面を出すのには、60万円ほどの費用がかかりますが、現地のリーダーであるカルロスも日本からのこのメッセージが力を持つだろうとコメントしています。
つきましては、緊急に新聞広告への賛同者を募集いたしますので、一緒にこの声を届けてくださるようお願いします。とくにコーヒーファンのみなさま、是非よろしくお願いします。
2010年11月
ナマケモノ倶楽部共同代表 藤岡亜美
■ご賛同いただける方は、下記の要領でお振込をお願いいたします。
・賛同金: 個人一口:2000円、団体一口:5000円
・振込先:郵便局00170−6−141662「ナマケモノ倶楽部」
*備考欄に「意見広告賛同」とご明記いただけると、事務処理が助かります。
・目標金額:60万円(エクアドルの全国紙、1/2ページを想定)
・意見広告掲載時期:賛同金の集約状況とエクアドルの仲間と連絡をとりながら、効果的なタイミングで掲載する予定です。経過報告はナマケモノ倶楽部ホームページで公開します。
ヤスニ計画の前にインタグ開発撤回を!
【新聞広告掲載予定文章】
*エクアドルとチリの全国紙にスペイン語で掲載します。
先日、コレア大統領らエクアドル政府ご一行が来日され、国家プロジェクトのヤスニITTについて日本社会にPRされました。ヤスニITTは画期的な提案であり支持したいと考えました。
国連大学での講演後、インタグ地方の鉱山開発について質問した私たちの目をみて、大統領は「フニンでの開発は許可しないから、心配するな」と答えられました。それなのに、同時期に出たエクアドルの新聞報道には、エクアドル政府として今年インタグ地方フニン地区でチリの企業による鉱山開発を推進するとあり、落胆しました。
私たちの住む日本の政府は、1990年代に、インタグで露天掘り鉱山開発を計画していました。コタカチ=カヤパス生態系保護区に隣接するこの地域で開発が行われれば、いかに壊滅的で広範囲なダメージをもたらたすかを、日本の国際協力事業団、JICAは資料で報告しています。
そこに暮らす人々にとって一番の豊かさである自然を壊す、この時代遅れな開発に断固として反対し、オルタナティブな産業を作り出そうとする人々の選択を知り、私たちは深く反省しました。そして、世界の最先端のようなこの地域に連帯し、以後10年間、フェアトレードやツーリズム、環境運動において手をとってきました。
そんな日本をはじめ、国際社会からはこう見えます。
「ヤスニITTで生物多様性を守っても、一方でインタグでは環境破壊を行っていたのでは、環境保護はただのポーズにすぎないのではないか。」
報道が真実であるなら、コレア大統領が就任し、カナダの会社による開発計画を撤退させたときのように、もう一度、どうかこの計画を撤回してください。
それに代わる豊かさについて、既にインタグの人々は、新しい発展の道を体現し始めています。森林保護、有機農業、エコツーリズム、一村一品運動、森林農法、フェアトレード、小水力発電、先住民文化の復興。そこには、エクアドルの大地と人々の知恵と力で生み出された、未来への道しるべがあり、大統領の言う「西洋型でない新しい発展」の中身として、世界中が注目するモデルが詰まっています。
コレア大統領は、講演の最初にエクアドルが、いかに豊かな自然と文化の多様性を保持しているかをワクワクするような言葉で語られました。自然や文化のつながりを切り捨て、お金や効率を優先したために行き詰まりを見せている日本社会は、本当に大事なものを見据えた大統領の言葉に感動しました。憲法でも権利を認めたその豊かな自然とどう向き合うか、ヤスニだけが問題ではないと思います。
世界の熱帯雨林の中でもこの「雲霧林」は2.5%しかない希少な生態系です。また、インタグは世界の環境ホットスポットのうち2つにまたがる地域であり、水資源保全のために重要な森です。インタグを含むコタカチ郡は、ラテンアメリカで初めてのエコロジカル郡として宣言しており、鉱山開発やその他の環境に負荷を与える産業を禁止して、平和都市として過去にユネスコから表彰も受けています。この特別な地域、トイサン山脈を「鉱山フリーゾーン」として打ち出してはどうでしょうか?
政権を維持し、国内の社会問題に本気で取り組む中での改革は簡単ではないと思います。エクアドルの自然の大半を壊してきたのは、私たち外国人であることも知っています。私たちは、鉱山開発のない世界に向けて自分たちのライフスタイルを変革し、そのための代替発展にむけてこれまでどおり、エクアドルの人々と新しいつながりづくりに取り組むことを約束します。
コレア政権が、私たちに約束したことを守ってくれるよう、また、ラテンアメリカ、そして世界の歴史における真のリーダーとして、ヤスニだけでない、すばらしい国土の全土において、世界各地と新しい、ほんもののつながりを作っていただけるように語りかけています。
(文責:ナマケモノ倶楽部共同代表・藤岡亜美)