第20回『食料自給率 日本型の食生活でアップ』(9/17掲載 京都新聞)

日本の食料自給率は現在四〇%。ただしこれは「熱量ベース」といって、国民一人あたりに必要な一日分の熱量を平均二五五〇キロカロリーとして、そのうち国産の食材でまかなえている割合のことです。
 またこの四〇%という水準は主要先進国といわれる国の中でもダントツの最下位。限られた国土という、日本と似通った条件を持つイギリスでは現在でも自給率は七〇%を維持していますし、今から四〇年ほど前の一九七〇年、日本の総人口はすでに一億を超えていましたが、自給率は六〇%でした。
このように日本の自給率が低下した理由の第一は食生活の大きな変化、第二は農業や漁業といった食料生産よりも、工業を重視した国の政策によるものです。
 この変化が顕著になったのが東京オリンピックを経て大阪万博が開催された一九七〇年以降で、肉類の消費が急増するとともに自給率は急降下しました。ですから食料自給率を上げるための第一歩は、米と野菜に豆類、日本近海でとれた海産物を中心とする、日本型の食生活に切り替えることです。
 私たちの会では三十年以上前から、京都・滋賀・奈良・三重といった地場でとれた季節の農産品を共同購入しています。生産者も消費者も同じ会員です。年間を通じてお互いに交流の場を作ることで安心・安全の関係を作ってきました。自給率の向上は農村と都市が協力しあう地道な活動から実現するのだと思います。