水上アートバスダンスパフォーマンス!ご報告2

8月4日 土曜

台風5号がそれた東京は晴天で、
それなりに湿度もあり、まさに「日本の夏」という言葉がぴったりの一日となった。

今回の水上アートバスダンスパフォーマンス!は、
ダンサーの伊藤キムさんと 、
なんと講談師の神田京子さんの共演である。

私個人としては、講談というイメージと、
コンテンポラリーダンスのイメージの差に若干の戸惑いと
その違いゆえにくる大きな興味を持って本番を迎えた。

今回もお手伝いの一環で、チラシ配りをさせていただいた。
お客様は涼しさや観光を求めて乗り込んでこられた、
普段ダンスと関わらないようなお客様が多かった。
その中にはダンスファンも来られたようだ。
それだけにどんな本番になるかが緊張と期待の入り混じる心境である。

お客様が乗り込み、
船が動き出すと同時に神田さんの威勢のよい講談が始まる。
講談は、普段船内で流れる観光案内の代わりとしてなされたものである。
そのため講談にはさまざまな名所にちなんだ
キムさんへの関わりがなされるのである。

ちなみに講談のテキストはキムさん作なのだが、
詩人であり神田さんのだんな様でもある
桑原滝弥さんのアドバイスも含まれている。

ストーリーはこうである。

さかのぼる時代は、江戸。
江戸の名物の代表のひとつ、隅田川には、人びとを震え上がらせる
海賊ならぬ「川賊」のキムという者が奥深くに棲みついていた。
そんなキムを手なづけたのが江戸っ子のお京である。
ある呪文をいうとキムはお京の前にちゃんと姿を現すのである。
お京はキムにさまざまな「教育」をしていく。そうしているうちに、
江戸には人びとを恐怖に陥れているネッシーならぬ
「スッシー」が出てくる。そこでお京はキムにスッシー退治を
させる。見事それを終えたキム!
だが、最後は人間と交わり過ぎたキムは川底の奥深くへと帰ってしまう・・・。

と、なんとも切ないお話なのである!!

しかし・・・最後にたどりつくまでは大爆笑が続いた。
神田さんの先ほど説明したストーリーの中で、
「教育」と表現したキムさんへのかかわり、

例えば、「右の人に抱きつきなさい!」とか、
「左の人にキスしなさい!」
できないと、「できないなら精一杯踊りなさい」、とか、
「せいぜい1000円を上げなさい!」など。
また、スッシーはアサヒビール本社となりのビルにある
オブジェを被りものにしてキムさんが被り、キム〜、スッシー〜、と
呼ばれて交互に出てくるのである!!

まず、ビルそのものを「うんこビル」と軽快に言ってしまうストレートさが
なんとも言えずおもしろい!
そして掛け合いは本当に絶妙で、
キムさんはキムさんの踊りで、
神田さんは神田さんの語り口でありながらしっかりと
成立しているところがお客様にも伝わり、
大爆笑へとつながったのだと思う。
私自身もひさびさに日々を忘れて笑うことができた。
ただ、日本語の分からない外国のお客様には
神田さんのおもしろさが伝わりにくかったようで
残念でもある。
しかし、ダンスでおもしろさは伝わったようだ。

今回の出演者である伊藤キムさんと神田京子さん、
言葉を操る立場としてのアドバイスをしてくださった桑原さんに
心から感謝すると共に、敬意を表したい。

ちなみに乗船者数は浅草発347名、日の出桟橋発189名の計536名だった。

写真は、上から「お客様との結婚式ごっこ」、「神田さんが指定したお客様の前での渾身のダンス!!」、「お京VSスッシー!」。

文・写真:わかものNPO?Voice of TSUKUBA 副代表/AAF実行委員
 吉田 ちひろ