兵庫美術館の中にある茶室「玄庵」にて
林屋晴三さん、お道具見立てのお茶会があり、
行ってきました。
連休の日曜日、快晴。色とりどりの着物姿の
華やかさにやや気後れを感じつつ、受付を
済ませたのですが、本席の斬新なしつらいを
前にしてすっかりリラックスする事ができました。
桃山時代、茶会が頻繁にひらかれていたわけですが、その気風というものは
とても自由であったようです。その精神でもって平成=今の作品を使って茶会を
してみようというわけです。そこで見立てにかんして間違いない眼をお持ちの
林屋晴三さんにひとつお願いしようということになり、今回が三回目、そして一応
最後となるそうです。(乾館長 談)いやー、なんとか来れてよかった!
林屋晴三さんは、陶磁について多くの著書があり、厳しい目で“やきもの文化”を
捉えられ、日本の美を伝えられている姿は、茶道や陶芸に通ずる者だけでなく、
広範囲に知られています。、美術一般の見立ての達人として、得がたいスタンダード
を持っている数少ない方の一人といえるでしょう。
以下林屋さんのコメント;
「私は、芸術的精神が生んだ、造形性をしっかり示した現代の陶芸家の作品を
取り上げ、自分の美意識の中で見立てて、どう構成するかという茶の湯をやり、
古い伝統的な美意識をふまえた林屋晴三という男が、現代に共感を抱いて
“今”という現代のお茶を構築する、それを僕はライフワークにしてやっているつもり
なんです。」
会記
本席を目にして、まず掛け軸のかわりにフレームに
入れられた写真がかけられ、椿が生けられていました。
天から地へ濃くなっていくグラデーションは、墨の
ぼかしで表現できそうなのですが、あえて写真を
もってきています。(油絵を掛けるときもあるそうです。おもしろいですね)
額;写真「海景」 杉本 博司 作
花;椿
(早咲きの椿。持参された方の裏山に10種類以上の椿を植えられていて
翌春まで絶えることなくいろんな椿を堪能できるとのこと。すごいです)
香合;辰砂葡萄文 藤平 伸 作
この香合いいですね。葡萄文、ふくよかです。
水指は、美大での工芸デザイン感の強いもので、京都の方だとか、
丹波のもので今回の趣旨に合うものがなかったのでこれをもってきましたとのことです。
半月状のものに打ち出しのモダンな蓋。普段の茶会の景色と違って
新鮮です。
水指;白じ焼締 小川 待子 作
蓋;桜内 邦子 作
茶碗;丹波赤土部茶碗。 西端 正 作
替;北村 圭泉、清水一二、ほか
「この圭泉さんの刷毛目の茶碗いいでしょ〜」と言われてました。
菓子器;西端 大備ほか
丹波焼締鉢がほとんど。
「かなり大振りでもぼくは気にならない」
「焼いたあとそのままじゃーなくて布でもってしっかりと磨いて掃除なさい!」
「見込みが汚い」と三回ほど話されていて、作家苦笑も「ほんとよ〜」
菓子;栗きんとん 緑屋老舗
お茶;旭日の白 京 はやしや詰
見立てのさいの見所のポイントというテーマの話がたくさん出て、
それぞれの作家のかたも同席されて、そのやりとりが楽しくて
お茶を介した文化交流会と言うカンジで暖かくなごやかな時間を過すことが
できました。もう異次元を旅してるようでした。