アラン・トゥーサンのビルボード・ライヴ大阪公演
2012年10月18日(木)21時30分〜
2部は“Southern Nights”全曲披露とのこと!アルバムを聴いていた頃を
あれこれ思い出し記憶がめぐった。
実際に1975年「SOUTHERN NIGHTS」に参加していたゲイリー・ブラウンが
今回は、サックス奏者として帯同した。
前回のライブのブライアン ‘ブリーズ’ カヨリのサラッとした持ち味にくらべて、
ニュー・オーリンズ近辺のスワンプから湧き出したのごときムゥーッとした湿気
を含んだ彼のプレイ。
レイ・ブラッドベリのサーカスのあの感じ。
さてバックバンドが「Southern Nights」を演奏し、御大アラン・トゥーサンが紹介され、
拍手喝采の中、ステージ中央に進み出る。
Mardi Gras 繋がりなのか銀のラメ、ド派手ジャケット。あなたはカーメン・キャバレロ
なのか?
でも意外と似合っている。クレオーレ文化だから。多少の下品は楽しい〜
去年の時以来気に入っているリズム隊。ハーマンDr.とローランドBass.
Fancy Cymbal Legato & Deep Earthy Bottom Line!
おしゃれです。
Grady Tate & Common Bassってか。
[Personnel]
アラン・トゥーサンAllen Toussaint ( vocals, piano)
レナード・ポーチェ/Renard Poche(Guitar)
ハーマン・ルボー/Herman LeBeaux(Drums)
ローランド・ゲリン/Roland Guerin(Bass)
ゲイリー・ブラウン/Gary Brown (Tenor and AltSo Saxophones)
今回のライブを見て感心したのは、リズムの作り方なんだ。
ミーターズのファンク・ビートの作り方は、
いかにガキガキしたジオメトリカルな気分を生み出すか?
がこだわり処というか聴き処なんですが、このチームは、それとは違っている。
楽曲のなかで、リズムの芯の比重を浮き上がらせたり、深く沈ませたり
変幻自由に旅をさせる。
たとえば、フラットなビートはオリエンタル・テイストにして、パーカッシヴに。
重く着地するあわせの部分は、ストンプして踏み込むように、落とし込むように
ボトムに向け重力をかける。
そのビートが時間軸で変わっていく過程で、軽くしたいときにアランのアルペッジオが
沸いたように底から這い上がってきてやがて上方で泡がはじけるように消えていく。
そこでハーマンのシンバル・レガートに繋がれて華やかな金属がなる
軽快なビートが展開される。
ティンカー・ベルの魔法の杖の一振りで巻き上がる金粉が見えてくるよ。
ガツンと楔を打ち込みたいときは、グライドという表現されるニュー・オーリンズ
独特の指を引っ掛けてまるでジェット・シューターのごとく滑り降りるアランの
下降フレーズが先導して着地点でハーマンがバスタムに圧し掛かる様に殴打し、
ロ-ランがそこから短いフレーズをフィルインすれば、
ボーカルが何事もなかったように陽気に歌い始める。
「俺を一人にしてくれ」〜「モット優しくしてくれ」〜とね
さてアンコール。
“Mr. Mardi Gras Man”。
ミスタ-・トゥーサンは、マルディグラのお祭りでつける仮面を、客席に投げいれていました。
舞台下手の席で彼と握手しました。
大振りの厚ぼったい大工さんのような手でした。