2005年より制作されていた、日の出亭の今や名物となった、猫足のバスタブがある浴室空間。「非日常へと導く装置」。その空間とバスタブを利用した作品が淡路島アートフェスティバル2007の日の出亭に誕生した。制作者田村大悟さんは愛媛県松山在住で家業の林業を手伝いながらそのフィールドからアート活動を見つめている。呼ばれれば大阪方面にでも音響の仕事をしにいくそうだ。彼は軽バンに機材を積み込み車内で寝泊まりしながら、淡路島にやってきた。一週間に及ぶ滞在制作。ワークショップを兼ねた参加型のプロジェクトは淡路島アートフェスティバル2007の日の出亭オープニングに合わせ、7月14日・15日・16日の三日間行われ、訪れた鑑賞者は小石を持参で来てもらい、水のたまったバスタブに賽銭を投げ込むようにトレビの泉にコインを投げ込むように、猫足のバスタブに拾ってきた小石を投げ込んでもらう。三日間の鑑賞者の人数や石の大きさ、石のポジション、投げ込む時間などによって、バスタブの上から水紋が、その石の場所に音律と共にプロジェクタ投影される。水はあるのに枯山水を彷彿させ、静かな浴室の空間に水紋の共鳴が響き、いっそう静けさを感じさせる。今年の暑さを一瞬忘れさせる、水琴窟の共鳴よりも審美的な共鳴空間。枯山水の庭よりも大きな宇宙を感じさせる。バスタブをのぞき込むとそんな世界が広がります。