日の出亭展示も残すところ、8日・9日のみとなりました。二ヶ月に渡るアートの祭りもあっという間に最終週を向かえました。 「大地図淡路島布団」の日の出亭展示について考察してみます。
布団職人の土井くんはキャンバスが布団であるように思えますが、
よく考えると、絵画と見るか布団と見るか、いやそんなところはどうでもよくなります。
日の出亭の和室で展示されているこの作品を目の前にすると、土井章広の世界感に引き込まれます。
それは作品のタイトルからすれば、淡路島の全地図が書き込まれたように想像しますが、実際は彼の行動範囲が克明に描かれている、彼の散歩図であるように思えます。
淡路島を知るもの、また知らないものにも彼の視点が滑稽に映るでしょう。
日常茶飯な彼のいたずらは制作に直結していると思われ、彼の一連の作品はその行動に繋がるユーモアがあります。
去年の作品「ヒーロー」は崖の上に5色の布団(赤・青・緑・黄・ピンク)を配置することでいわゆる「ヒーロー」をイメージしました。
また一昨年の「スカイダイビング布団」は寝ている姿勢が傾いて空を飛んでいる気分にさせる、厚みが均一でない横から見ると斜めに膨らんだ敷き布団を展示しました。 今年の作品はタイトルがまず決まったものの制作にとりかかるにはかなりな時間を要しました。
彼は人を猿に例え、人物は全てそれぞれ違う猿として画かれている。鳥獣戯画ではありませんが、類人猿戯画という絵巻になっています。始まりもなく終わりもない、土井君の家があり、日の出亭があり、周辺の営みがあると言った感じです。 布団の縁をなぞりながら、絵を見ていると、知らぬ間にぐるぐると布団の周りを何周もしてしまいます。
何周も見て回っていると、布団の仕上がりにも最後は目がいき、 「さすがに布団職人!」 と思ってしまいます。
彼は日本一の布団職人を目指して日々修行の毎日を過ごす堅実さを持ち合わせています。 過酷な終業を欠かさず生活しています。 そう! 彼の発想には現実とユーモアにブラックが付いてくる。習慣の裏側を垣間見せてくれる作為が土井君の面白い所だと思います。皆さん是非、土井布団を体験してみてください。
日の出亭での公開制作風景をアップします。