最近テレビを見たり、新聞を読んだりしていると「障害者自立支援法」に関する特集や記事をよく目にします。
確かにこの法律が10月から全面施行されて、これまで「障害」の世界にかかわってきた支援者や事業者、もちろん家族だっていよいよ大変なことになっています。
そのことをひとつひとつ言うことは煩雑になるので避けますが、当事者にとって見れば「慣れ親しんだ環境が奪われていく」ことというのは非常に大きなことです。
楽しく通っていた作業所がなくなる、グループホームの仲間がいなくなる、いい関係になっていたヘルパーさんが来なくなる・・・。
障害者(児)にとっては、今そこで楽しく生きているということが最もその人にふさわしい自立だと思うのです。
でも、法律では障害の程度によって生きる場所を分けられたり、仲間のいる作業所を離れて一般就労するということが「あるべき自立」だと言っています。
障害者だからといって人間の生き方に行政が介入してよいのでしょうか?
そこに障害者自立支援法の根っこの問題があると思っています。
けれども行政というものに支えられなければ生きていけないこの業界では、正論を主張し続けようとも運営(経営)が成り立たなければそれでおしまいというところもあります。
わたしたちの身近においても「事業者の撤退(縮小)」の流れは確かなものになっています。
「理念」と「経営」、そのふたつを安易に天秤にかけて釣り合いを探れば今後ますます理念は軽くなるでしょう。
でもそれではいけないのです。そのことを心に戒めながら押し寄せる波に向かっていかねばなりません。
簡単なことではないですが。