行政の施策というものはホントにいろいろありますが、中には“ミスマッチ”だなと思うものもあります。
何がどうミスマッチなのかというと、行政の方針(方向性)と市民の実態・ニーズがかけはなれてしまってるようなときです。
お役所はこういうことをすればもっとよくなるんじゃないかと予算をつけて実行します。でも市民はそんなものを望んじゃいなくて、結局あまり使われない制度や政策に結構お金がつぎこまれているとか。
そんなものは結構あります。もちろん今は昔と違って一定の期間を設けて制度を見直したり、廃止したりすることが主流になっていますので、「とりあえず成功するかどうかやってみよう」ということなのでしたらそれもアリなのかなと思われますが。
さてさて、この「工賃倍増計画」なるものがそういったミスマッチなものになってしまうのかどうか結論づけてしまうのはよくないでしょう。むしろそうならないようによりよいゴールを目指していくべきです。
しかし実際に作業所にヒアリングに入るとなかなかしんどいものがあります。
一番感じるものが「作業は目的ではなく手段」ということです。
つまり作業で得た収入を生活の糧としているのでもなく、訓練をすることで一般就労を目指しているのでもない。日常活動のメニューとして作業をとりいれているというものです。
みんな集まってレクレーションで遊んだり、散歩ばっかりしててもしんどいので、作業を通じて何か過ごし方に目標をもっていこうということでしょうか。
作業所は労働の場ではなく、地域での居場所として存在している、これが多くの作業所の実情です。
今回の計画の調査対象になっているところの多くが、今後「生活介護」、「就労支援B型」や「地域活動支援センター」を目指しているようです。こういったことからも「働いて工賃を稼ごう」というイメージから遠くにあることを感じます。
ある作業所で聞きました。「実際工賃が増えるのはいいことだと思うけど、生産性が追いつかなくてこれ以上は難しい。たとえば内職の受注単価がアップして作業量は変わらずに収入が上がるようになるならありがたいんだけど・・」。
ただ、どこの作業所で聞いても利用者の工賃に対する執着は希薄だと言われます。あればうれしいのだろうが、少ないからと言って文句の出るようなことではないと。
じゃぁ結局「工賃倍増」しても誰も喜ばないの?ってことになりますよね(笑)
そう考えると、この「工賃倍増計画」がこれからどこに着地していけばよいのか、とても難しいものになってきます。
あわづ