うちの事業所では自家用自動車による有償移送事業を行っています。

この事業を利用するために登録している人は10人足らず。決して多いとは言えませんがこれもこちら配車体制が十分でない中よくもってるなと思っています。

ただこの事業は現在国の届出制度になっており、正直不採算性の高い事業になっています。

実際、制度枠にしばられたことでこの事業から「撤退」する、考える事業者も少なくないと聞きます。

うちが何故この事業をはじめたか、それは地元S市からのこんなオファーでした。

S市の教育委員会にいる同じ介護グループの後輩から相談があると、で、なんのことかと聞いたら「障害を持った小学生の送迎を自動車でしてもらえないか?」ということでした。

よくよく聞くと、『市内の身体に障害をもつ児童が本来通うべき地元の小学校についてバリアフリー化されていない場合、地元小学校ではなくセンター校(特定の小学校)に通うよう教育委員会では対処している。ただしその場合小学生は「越境」して通学することになるので送迎保障を市の教育委員会が行っている。具体的には民間のタクシー会社に依頼して毎朝、毎夕に介助職員を学校から同乗させて通学している。けれでも最近市の財政状況が悪くタクシー料金を捻出するのが難しくなっている。タクシー会社もこの毎日の配車については取りやめたがっているので何とか新しい形でできないか検討している』というのです。

ちょうど障害児のレスパイトサービスをはじめたところだったので送迎用の自動車も購入していたのでできないことはなかった。

ただその時は朝はともかく、帰りの時間は一定しないので人手が確保できないことがあり、残念だけど断ることにして一度その話は立ち消えになった。

それから一年後またその話がむこうから持ちかけられた。

いよいよ財政面のしめつけがきつくなったようで。

今度は送迎は朝だけでよいという。(帰りは学校側で配慮するらしい)なんとなく焦りの様子もうかがえ、こちらとしてもこどもが学校へ行く権利を考えると最善とは言えないがなんとか手伝った方がいいだろうと引き受けることにしました。

体制的には「自分がやれるまでやろう」ということで毎朝ちょっと早く起きてこどもを送迎してから仕事に行く。そんな毎日がはじまった。

それから5年目。

はじめたころ2年生だった女の子も今では6年生になり、今日は広島へ修学旅行に旅だちました。

新幹線に乗るので今朝は朝6時半に学校に行ったのでボクは少し眠い。。。ゆうべ遅くまで飲んでいたことも原因ですけどw

今にすれば「行政が本来すべきことを安価に肩代わりしている」とか、「たった一人がガンバロウという決意だけでそんなことをひきうけていいのか」とか言われるかもしれません。

確かにこの送迎で市から入るお金は1回400円、ほとんど実費に消えます。

そしてボクはただの一度も早出の超勤をつけたこともありませんから全くのボランティア活動です。

それでも病気をしたりやむを得ずスタッフに変わってもらった日を除けば休日でも前夜の酒に疲れているときでも朝必ず車をだします。

なぜといわれたらやはり「やりたいからやっている」としか言いようがありません。強いて言えば、同じ年のこどもを持つ親としてもその子が毎日学校へ通えるということに意義は感じているということでしょうか。

今いろんなところで行政の仕事を民間が請け負うことについて疑問視する向きもありますが、ある意味する価値が見いだせるのならどんどんやったらいいと思います。

やる気がなくなればやめればいいのです。

だから『儲からない制度』にのっからざるを得なくても送迎事業を続けているのであり、少なくともこの子が卒業するまではやっていこうと思っています。

幸いというか、S市内の小学校のバリアフリー化もかなりすすんだのか、もう新たに送迎をすべきこどもはいなくなるようです。

みんな地元の学校に行けるのならボクは一番うれしいです。

眠い目をこすって朝職場に来ると先月植えたひわまりが咲いていました。

こういうのって癒されますよねぇ。。。

あわづ