私事ですが、うちの長女ネコが失明しました。
原因は「網膜剥離(もうまくはくり)」です。
よくボクサーさんなんかが網膜剥離になってもうボクシングが続けられなくなったとか聞いたことがあると思います。
実は昨夏も獣医さんに網膜剥離の診断を受けたのですが、奇跡的に状況が回復しました。
ほとんど自然治癒といっていい状態で獣医さんも驚いていました。
でも今回はダメでした。
8月の終わり頃「あれ?見えてないな」と思い診察を受けたらやはりそうでした。
今回も奇跡を期待しましたがついに見えなくなったようです。
不安だったのか思い出したようにニャーニャー鳴いたりしたこともありました。
何より大変だったのは餌の場所もトイレの場所もわからなくなり、部屋の中で失禁や糞をしたり家族にとってはちょっとした問題になりました。
かわいそうだけど夜中や昼間、家族が家に居ないときはゲージに入れようということになり、物置の奥にあった古い囲いを出してきて夜中に入れました。
不便だろうとゲージの中に小さなトイレも入れました。
でも、朝起きてみるとちゃんと部屋の真ん中にいます。
見えないはずなのにと思いつつ、次の日もまた次の日も同じことを繰り返しました。
ある日息子が学校から帰ってきたときに発見したそうなんですが、一生懸命囲いをよじ登って上から出てきていたそうです。
見えないからとゲージに入れられたことが不安だったのかもしれません。
また、それがとても苦痛だったのかもしれません。
家族としては思い直してもうゲージに入れることはせず、自由にさせることにしました。
部屋の中でおしっこされてもしょうがないな。
予兆があったらトイレまで連れて行くことにしようなどと話あいました。
しかし気づいてみるともう部屋の中で失禁したりということはなくなりました。
実はうちのネコトイレは階段の下にあるのですが、彼女はよぼよぼと壁に沿ってぶつかりながら右へ左へと時間をかけてトイレまで出かけていたのです。
見えないから目的地までまっすぐ進むことはできません。
それでもネコの性でしょうか、トイレがしたいときはがんばってトイレまで移動しています。
餌場についてもほぼ見えていたときと同じようにいつもの場所にとぼとぼ歩いていきます。
よくネコの環境はなるべく変えないようにした方がよいと言います。
おそらく空間を把握するチカラがあるのだと思いますが、彼女も20年近く家族として過ごしてきて(この家も8年近く)、ここにトイレがある、餌がある、ここに人が集まるということがわかっているのでしょう。
だからなるべく、よほど困っていない限り彼女のことは助けないようにしています。
なるべく生きる力を奪わないようにしたいという考えです。
見えないことで動きはすごくゆっくりになりましたが一時のとまどいはもうありません。
たくましいなと思います。
そしてまた、生きることの尊厳を教えてもらった。
ような気がしてます。
ネコですが。
命あるものです。
あわづ