プログラム駆動症候群ー心をもてない若者たちー

三森創著 新曜社

心にはいくつかのタイプがあります
皆が皆同じような心をもっているわけではありません
心の組織化(まとまり方)がいくつもあるのです
けれども心のまとまり方が違っても
どれも『心』であることに変わりはありません
これに対してわたしが気になっているのは
心に組織がない 心にまとまりがないというタイプです
簡単にいえば『心がない』というタイプです
心をもつ人間は行動するとき心から行動を起こします
つまり自分の中に動機や理由や判断をもつことから
行動を起こします

では心がない人間は行動するときどうやって行動を起こすのか
心がないので自分の中に動機や理由を持つことができません
自分の中から行動できないとすれば
自分の外から『行動の手順』を読み込んで行動するしかない
というのがわたしと津久見くんの答えです
この『行動の手順』を『プログラム』と
わたしたちは呼んでいます
もしプログラムという言い方がわかりにくければ
『マニュアル』と読み替えてもいいでしょう

たとえば かつて1990年代の初めのころ
若者たちの間の恋愛マニュアル化が話題になったことが
ありました
そのテの雑誌の恋愛の特集記事にしたがって
相手別の付き合い方 進行のしかた
デートのコース ホテル選び
そしてプレゼントの品定めから渡し方 会話のトピック
果ては決めの一言まで忠実に再現する
「マニュアル人間」があらわれました
そのように
一連の定められた行動手順(プログラム)をなぞるなら
特に自分の中に動機をもたなくても行動することができます

このように『心がない』
それゆえに『プログラムを読み込んで行動する』
という新種の行動の起こし方を
プログラム駆動(ドリブン)とわたしたちは呼んでいます
「プログラムに運転されている」という意味です

対語はマインド駆動(ドリブン)です
マインドは心のことです(心理学では心をハートといわない)
マインド駆動とは『心に運転されている』という意味です
ふつうの人間はもちろんマインド駆動です
心に運転されています

〜中略〜

同じ行動があらわれても行動の起こり方が違うのです
それが何かしら『変だな』とか「おかしいな」とか
違和感をあたえるのです

<タケニグサがすごく大きくなっています 子どものころに聞いた話では 「竹を煮るときに入れると竹が柔かくなって扱いやすい」 ということでしたが・・・・・>