岡田尊司著 筑摩書房より
そもそも胎生期から乳児期における
中枢神経系の発達の問題がベースにある
発達障害はその性格からして10年や20年という
タイム・スパンで急に増えたり減ったりするものではない
昔から同じように存在したはずの障害なのだ
発達障害という病名こそ最近使われるようになったが
それは呼び名の問題であってアスペルガー障害にしろ
名前はなくてもその障害自体は昔から存在したのであり
最近になって降って湧いたように出現したわけではない
とするとこの10年ほどの間の子ども達の突発的で
異常な行動の増加を「発達障害」に帰することは的外れということになる
そこには別の要因がからんでいることになる
現に先の例に見たように発達障害を抱えた子どもだけでなく
他の精神的脆弱性を抱えた存在や
精神医学的に「正常」とされる人にまで
同じような問題が突発するケースが見られるのである
こうした診断をめぐる混乱が示していることは
今起きている一連の現象に対して
精神医学が適切な「診断」概念をもたないことである
<キョウチクトウが咲いていました>