スピリチュアル・ブームの光と影 いのちを軽視する可能性

安らぎ求める現代人 島薗 進

〜前略〜
大量消費と結びつくような「スピリチュアル」の
流行には慎重に対処すべきだと提言したい
新しいスピリチュアリティ現象の重要な
特徴の一つは落ち着いた人間関係や
堅固な指導のシステムが欠けている
場合が多いということだ

〜中略〜
そこでの「教え」や「信念」を自分自身の
経験に照らし吟味しながら堅実に身につけていく
方途は欠けている
スピリチュアル・ブームでは視聴者や読者は
目覚めさせられ、大きな希望へとあおられて
「教え」や「信念」に近づいていくが
その後のアフターケアがない
何かよくない結果が生じたとしても
それに責任を負う人がいない
だからこそ商業的にはうまい話にもなる

〜中略〜
スピリチュアルな著名人に過剰な期待が
かけられていることも不吉に感じられることの一つだ
人生の意味を解く鍵を見事に悟っていると
信じる人物に傾倒して自らを明け渡してしまうタレント達を
次々登場させる番組は
数百万の子ども達にそのような姿勢を
推奨しているのかもしれない

〜中略〜
新しい世代の多くの人々にとっては
超常的な世界が既定の事実として
受け取られかねないのも事実だ
そしてそれは多様性に開かれた自由な
公共空間を脅かすことになりかねない

<ギボウシはどこか懐かしい花ですね>