フィンランドの教育 答えより考え方を

子ども達の学力低下をめぐる議論が盛んな昨今、
国際的な学力調査でトップクラスの成績をあげる
フィンランドの教育への関心が高まっています。

朝日新聞2008年3月2日に
「学力世界一のフィンランドに学ぼう」をテーマにした
福田誠治・都留文科大学教授の講演記事が
掲載されていました。

国際的な学力比較でよく用いられる
OCED生徒の学習到達度調査(PISA)とは、
「読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーという
応用力を測る」ものであり、
「あらかじめ結論を覚えて解くものではなく、
覚えたことを使って判断できる力を問うもの」です。

PISAができた背景には欧州の変化があるといいます。
「EU(欧州連合)ができ、人々が国境を越えて移動するようになり、
多様な人が共存するための「協同の知」が求められる。
PISAが問う読解力とは、言葉を使って何ができるか、
いわばコミュニケーション力と思考力だ」

この新しい学力観の流れを先取りしたのがフィンランドで、
その教育には次のような特徴があるそうです。
「基本的にテストはしない。
結論や正解を覚える勉強はさせない。
先生は子どもに勉強を強制せず、答えではなく考え方を教える。
クラスは平均で十数人」

一方、日本ではどうかというと、
「OECDのグリア事務総長は日本の学びに対して、
「多くの国の労働市場からすでに消えつつある種類の
仕事に適した人材育成」と語った。これは痛烈な批判だ。
さらに、応用問題まで記憶させるような東アジア型の勉強は
一斉労働には向いているが、そうした仕事は
ロボットや発展途上国に奪われる。
日本は点取りゲームをしており、
自分の人生に関係のない学びになっている」

日本では、学力=テストの点数という古い学力観に未だにとらわれ、
ひたすら覚えさせて、テストの点数を競い合わせるところが多いです。
これでは、自由な思考力やコミュニケーション力が育たないし、
答えが一つしかない問題に対応できても、
社会に出てから問題となる、答えがない問題にどう取り組んだらいいか
戸惑ってしまうでしょう。
多くの子ども達にとって今の日本の教育が
「自分の人生に関係のない学び」になっているという現実を
どう変えていくかという視点が、学力をめぐる議論には必要だと思います。

<春が近づくと、マンサクが枯れ木の中に黄色い花をいち早くつけます>