社会学入門—人間の社会の未来 その3

見田宗介 岩波新書より

<自立>の思想は<関係の絶対性>の思想の
止揚された形、転回された形といえます
たとえば独裁者や独裁的な勢力の支配の下にある
貧しい国々が存在する時
これらの国々の真実の「解決」のかたちというものを
考えてみることが許されるとすれば
それはこれらの国々の民衆自身が
独裁者や独裁的勢力から自立することをとおして
アメリカを中心とするグローバリズムの支配からも自立し
自らの幸福と平和と自由を追求するという方向しかないはずです

このような国や地域の民衆の自立のために日本やアメリカの
高度の情報化 消費社会の内部の人間がなしうることは
(当面の様々な「援助」は有効であるとしても)
根本的には私たちの社会自身が自立すること
外部の諸社会、諸地域を収奪し、汚染することのないような仕方で
自由と幸福の持続可能なシステムを構想することでしかないはずです

(被支配者の自立のために支配者がなしうることは
支配者自身が自立すること、被支配者への依存をやめることです)
けれども、外部の諸社会、諸地域を収奪し、汚染することのないような仕方で
自由と幸福を永続する社会システムというものは可能だろうか?

・・・・・私たち自身の社会が自立することとは 依存しないこととは?・・・・・

<ハナカンザシは小さな花です>