阪本順治監督作品 梁石白原作
これは決して遠い国の出来事ではない
タイでは今もお金では買えないはずの
子どもの命が現実に売買されている
人身売買と幼児売買春、違法な臓器移植
そして加害者の中には日本人も多いという重い事実
子供たちが欲望まみれの大人のエゴに蹂躙されていた
貧しい農村から売られ、家族と離れ離れになり
売春宿に監禁されている彼らは
ぺドファイル(幼児性愛者)たちに性の玩具にされ
心身ともに耐え難い傷を負うだけでなく
エイズにかかればゴミ同然に捨てられ
例え健康でいられても生きたまま臓器を抜き取られていた
・・・・・・・・ほとんどドキュメンタリータッチで余計な説明は省き
お涙頂戴的な過剰な感情移入も排除
主役級の俳優たちもいつもの存在感は消している
主役は子どもたちの深い瞳
残酷な現実の世界に巻き込まれ翻弄され人間の尊厳を蹂躙される
子どもたちの深い悲しみと持って行き場のない怒り
その瞳が映画館のフカフカのシートに座る私たちを
無言で見つめ射抜いてくる
国連子どもの権利条約の実現にはまだまだ長い時間がかかるはずなのに
日本ではあっという間に忘れ去られている
すべてがブームとして消費される私たちの社会
エンディングに響く桑田啓祐の魂を搾り出すような歌に鳥肌が立った
すでに活動休止宣言を済ませていた彼の渾身の作
こんな骨太の作品を一人でも多くの人に見て欲しい
特に若い人に見て欲しいという監督の思いが
キャスティングに現れていると思う・・・・・・・