あの人に迫る 鳥飼玖美子

—英語で読んで、書いて、話せるようになるには、
中学高校でしっかり学ばないといけないんですね。

その通りなんです。もっともその前提は、
「何を言いたいか」を考えられる人間になることでしょうね。
自分の意見をいうことが案外日本語でも難しいらしいんですよ。
自分の母語で言えないことは、外国語で言えるわけがない。

まず言いたいことを持つことと、
それをどう相手に分かるように伝えるかということ。
それはまず母語から始まり、それを今度は外国語にしていく。
そこで基本的な構文の知識が必要になる。

日本の若い世代に、あることについて意見を聞くと
「分からない」「知らない」と返ってくる。
英語が母語ではない外国人学生は、下手でも意見を言う。
そこが何か違う。

—日本人は小さいころから、意見を言えと育てられてないかもしれない。

そうでしょう。
私は「言いたいことを臆せず言えるような教育をしていますか」と、
小学校で言いたい。
子どもが生意気になることを覚悟しない限り、
英語をやれなんて言うべきではない。

日本人はダブルスタンダードなんですよ。
外国人と英語で丁々発止やるような子どもに育てようと思ったら、
まず自分の考えを臆せずに言うというように育てないと。

私は高校3年生の時、米ニュージャージー州の高校に
1年間留学しました。
そこでまず言われたのが、
「車はキーキー言わないと油を差してもらえない。
黙ってちゃわからない。言わなきゃだめ」と。
日本人はお互い分かり合うけど、それは通用しない。
その違いを分かっていないと、
いくら小学校で英語を学んでも意味がない。

<梅もどきがかわいい実をつけています>