人間は分かりません 文化人類学者 西江雅之より

世界の言語や文化を研究して見えてきたことは
例えば異国に関する文章を書くときも
珍しい風習を伝えるつもりはない
読んだ人にこの地上どこの人も自分と同じだなあと
感じてもらえればいいと思う

世界のどこだって人は「生きもの」という点で同じ
ただ集団としてみれば生き方が時代や地域によって異なる
その違いを理解することが難しいんです

他文化理解が必要と一般的に言われますが
分かろうという姿勢は大切です
でも人って本当に違う
その違いは簡単には分からないって考えていた方が
いろんなことがスムーズに進む気がする
親子、夫婦のような間柄でも同じです
「お互いに違うんだ」という意識は相手を尊重する
ことにもつながるし

家族の間でも違う
同じ人間といっても1分前と今とでは違っていることが多い
今、目の前で話し合っている相手の影響も受けて
一刻一刻移り変わっているといってもいいほどです
「人間はこうだ」とすっきり割り切るのは無理ですね

ずっと研究してきて見えたのはこの複雑怪奇でどろどろとした
人間って分からないことだらけということです
だからそれを調べるのが面白い
第一人間とは何かが分かってしまったら生きていても面白くないでしょう
そんなことが分かってしまう時代は
来ないでほしいですね

<サザンクロスは小さな花ですがかわいいです>