子どもと大人の<あいだ> 青木信人 より
当たり前のように、いつも親子で行動した。
夕暮れの川べりを散歩するような、
ゆったりとした時間の流れの中で、
娘たちの成長を見守る自分を幸福に感じた。
いつからだろう。そんな時代があったことすら忘れ、
まるで反目し合うかのように、
お互いの間の自然な会話が途切れてしまったのは。
気づかないうちに、娘たちは大きく成長した。
もはや手に取るように、娘たちの心を見ることはできなくなった。
たぶんそれは、自然の成り行きだったのだろう。
思春期になり、自我に目覚めれば、親も1人の他人になる。
離れていく子どもにはそれなりの覚悟があるが、
置き去りにされる親には心の準備ができていない。
そのズレが時に不幸な関係を生む。
子どもがまだ幼かったころの関係を引きずったまま、
ズカズカと心の中に土足で踏み込む。
愛という名のもとに、思いどおりに我が子を動かそうとする。
そうした親の強引さが、子どもの心を閉ざしていく。
自分が子どもだったころには、そうした親の強引さに
強い反発を感じたはずなのに、
いざ自分が親になってみれば、わが子に同じことをしてしまっていた。
そんな私の過ちも、もはや過去の出来事になってしまったかのように、
娘たちはすっかり大人になった。
離れていたお互いの心の距離が、また少しずつ縮まり始めた。
<ボケの赤い花がきれいです>