グラスルーツとアカデミズム

私は10代から20代には
思春期特有の疑問や批判精神、正義感などで
「人間とは」「社会とは」「世界とは」などといった
雲をつかむような巨大なテーマに向き合い
様々な試行錯誤と行動をしました
それは未組織の一粒の種でした

30代になり3人の子どもの母親となった時
大切な我が子のために少しでも安全な食べ物、安全な生活
安全な環境を求めて消費者グループを立ち上げ
仲間と共同購入をしながら地域でゆるやかな組織を作り
一粒の種から踏まれても負けないたくましい雑草になりました

その中から自分たちが今一番知りたいことを学ぶ
草の根学校にも取り組みました
何十冊の本を読むよりも学者や研究者から直接聞けることは
学ぶ喜びがあり人と人の出会いが刺激的でした

40代から50代になりわが子の子育ても終わった時
母親としてではなくまた1人の市民として
社会の問題に向き合うことにしました
いじめられて自殺していく子どもたちの叫び声に
耳をふさぐことはできなかったからです

子どもの幸せと人権を守るために関連の研究会に属し
勉強してからボランティアグループを立ち上げ
自分たちがテーマも講師も選んで自己研修し
ここでも多くの学者や研究者に出会いました
その後NPO法人として活動を継続しています

今60代になり子どもの幸せのためには子どもだけでなく
子育て中の保護者のための活動の重要性にもあらためて気づいています
私自身が多くの専門家から学んだことを
悩みながら子育てをしている保護者の皆さんに伝える
メッセンジャーの役割もあると考えています

これまで出会った多くの学者、研究者の中で
私の3大巨人は忘れることはできません
お会いした時にすでに80代位の学会の大家でしたが
とても魅力的な人間性にふれることができました
彼らはご自分の持っているものを惜しみなく無名の私たちに与え
まるで雑草にも分け隔てなく降り注ぐ太陽のように暖かく
私たちを包み込み育ててくれました

その次の世代の研究者たちからも多くの学びを得ることができ
やはり暖かく自然体で笑顔が印象的な方々でした
私たちの疑問に丁寧に答え一緒に考え
まるで恵みの雨のように私たちに知の雨を降り注いでくれました

自然発生的なグラスルーツの活動は仲間だけでは何もできません
多くの専門家の協力と支援を受けて益々元気に
仲間を増やし地を這い根を張ってくることができました
それは知識人としての社会貢献であると彼らが明確に意識されていたからでしょう

ただ一つだけ残念なことがあります
これまであらゆるジャンルの専門家に出会いましたが
少なくてもグラスルーツから発生したNPO関連の専門家の中に
特権意識丸出しで上から目線で管理指導する姿勢
あるべきNPOの枠組みを押し付ける姿勢には
自己矛盾として大きな違和感を禁じえません
いろいろなNPOがあっていいはずです
私は彼らのことをひそかに名づけています

Nippon Paternalism Obstruction 

<ヒナギクがきれいに咲いています>