市街戦題材「センス疑う」

ゲームソフト会社コナミデジタルエンタテインメントが、
イラク戦争での市街地の銃撃戦を再現するゲームの商品化を
一時検討、米兵の家族団体などの
猛反発を買っていたことが分かった。
国内外のインターネットサイトでも議論が沸騰し、コナミは商品化断念を決めたのだが・・・。

 ゲームは、住民が多数殺傷されたファルージャの
市街戦(2004年)を扱った
「Six Days in Fallujah(ファルージャの六日間)」。
コンピューターで細密に再現された画像を使い、
武装勢力と戦う兵士の立場でゲームをする。
 制作したのは米のゲーム開発会社。
約40人を米海兵隊員から当時の動画や写真、日々の作戦行動を記した
日記などの提供を受けた。ゲーム内でも海兵隊員の生々しい証言が挿入されている。
 「実際の戦争を題材にしたゲーム自体は珍しくなく、
ベトナム戦争のゲームも出ている。

ただ、今回はつい最近の戦争で、リアルタイムで関係者が多い点が
異なる」とゲームジャーナリストは語る。
 コナミ広報室は「ゲームではなく、戦場に身を置く疑似体験ができる
“ドキュメンタリー”という新ジャンルとして、取り扱いを検討していた。
ただし、賛否両論分かれることは想定していたので、世論の反応も考慮して
総合的に取り扱わないことを決めた」と話す。

 擬似ゲームとはいえ、戦争の“質”を問題視する声もある。
「今回のゲームの問題点は“敵”の設定。米国は反米勢力をすべて
テロリストとみなし、無差別に攻撃した。
兵隊同士が戦うのとは全く違う。民間人を区別しない
対テロ戦争の危険性をゲームで再現することになる」と
批判するのは当時ファルージャ近郊で
武装住民に拘束されたジャーナリスト。
 「民間人を殺すという意味では、米軍を主人公にした
『東京大空襲ゲーム』を売り出すようなもの。
コナミは中東の人々から反発される可能性を考慮しなかったのか」
と想像力の欠如とみる。

 ファルージャの六日間とは、開戦から約一年後、米側民間警備員が
武装住民に殺され、見せしめのようにつり上げられた事件後の市街戦。
米国人にとっては最も衝撃的で悪夢を連想させる事件であった。
 ただ、その発端は米国が誤って住民に発砲、さらに仲介に入った穏健派の
宗教勢力にまで攻撃を仕掛け、住民の憎悪を招いたことにある。
六日間で数百人の住民が犠牲になり、その半数は女性と子どもだった。
ゲームは最悪の悲劇に触れ、無神経でセンセーショナルなものだった。
 「イラク戦争は間違っていたという評価が世界的に定まりつつある今、
どうしてこんなゲームを売り出そうとしたのか。センスを疑う」

<オオイヌノフグリが かわいらしく咲いています>