薬物使用 刑事的悪か公衆衛生的悪か

佐藤哲彦 熊本大教授より

9月下旬、ベルギーで開かれた欧州連合(EU)の委員会主催の
薬物政策に関する研究学会に参加した

欧州ではヨーロピアン・アプローチと呼ばれる独特の方法で
薬物使用者を処遇している
その特徴の一つは薬物使用は公衆衛生上の問題という
認識である

米国や日本の薬物使用者に刑事罰を与えるアプローチと異なり
『薬物依存は病気である』という認識が政策の基礎にある

欧州では米国が中心として進めてきた取り締まり中心の
『薬物戦争(War on Drugs)』は効果が上がらなかったことから
実質的に敗北したとする人も多い

『薬物戦争は失敗だった』との見方を示すオバマ政権では今後
薬物政策を『チェンジ』し医療的な対策を組み込んでいく事が予想される

一方日本では薬物使用者は極悪人であるかのように扱われ
そう扱われることも当然視されている
しかし覚せい剤取締法はそもそも密造や密売を防ぐ目的で
51年に制定されたものである

薬物が悪いものでありその使用が問題だという事は論を待たない
薬物をやめられない事が問題なら必要なのは刑事処分ではなく
医療的措置であるとも考えられるからである

・・・・・「だめ!ぜったいダメ!』と禁止する教育でどの程度防止効果があるのか
疑問です。特に子どもについては非行問題としてだけ捉えられがちですが
当会ではむしろ悪い大人のワナにはまってしまった被害者として
大人からの搾取という子どもの人権侵害の問題として考えています・・・・・・
<写真は当会のティーンズドラッグワークショップで使う薬物見本で 実際に子どもたちが目にする可能性が高いリアルなものです>